完全自作のバルサカー

 前 置 き

プラモを教えてくれたのは父親だったのに、私がプラモに夢中になると、父はどちらかと言えば「あまりはまるな。」の立場に変わりました。当たり前と言えます。

私も今は父親ですから、子供にはテレビゲームなどではなく、外で野球やサッカーをやって欲しいし、友達と遊ぶときも、銀玉鉄砲で撃ち合ってほしいと思います。

母親も同様で、一回何かのはずみで私の作った紫電改(田宮1/50日本傑作航空機シリーズ)を裁縫用の長い物差しで唐竹割りにされたことがあります。怒りを買った原因は”やることをやらなかった”など私の方にあったのでしょうが、ちょっと長めの増槽が「ピーン」と音をたてながら窓の外に飛んでいったシーンを覚えています。

大人にとってプラモはあまり好ましくない遊びに見えたのかも・・・。一回高校生くらいの時「ギターを買ってやるぞ。」などと誘惑されました(普通は「ギターなんかやってると不良になるぞ。」ですけどね)。それになびく私ではありませんでしたが。

さて、やや時間を戻しますが、ここでご紹介する2つの作品は、私が小学校高学年の時と中学3年くらいの時に作ったバルサカーです。全てオリジナルの模型を作ってみたくなった理由はよくわかりません。もしかしたら「プラモはただ接着剤で作るだけで、何のオリジナリティーもない。」などと親に言われたからかも?

 
 はしごフレームのジープタイプ ・・小学6年くらいの時

ひのきの角材をシャーシに使い、3mmのバルサでボディーを作った原始的なものです。電池は最初単三1本を使いましたが、軽量なためかよく走りました。

ステアリング系も針金や下敷きなどで作っています。動力はモーターの軸から直接輪ゴムで車軸のプーリーに伝えます。

塗装はサーフェーサーのままです。この後色を塗る予定でしたが、早く遊びたかったので、そのまま完成させてしまいました。

 

 

設計図は何枚か書きました。その一枚に材料費のメモが書いてありました。

○3mmバルサ・・60円。
○スイッチ・・15円。
○FA−15モーター・・100円(実際にはFA−13モ−ター)。
○ピアノ線・・15円。
○タイヤ・・15円。
○角材・・15円。
○シンナー・・40円。

全部で260円です。

 レーサータイプ・・中学3年くらいの時
こっちは少し上手になっています。ホイルハウスや各部を曲面で仕上げるため、1cmのバルサで組んで、削りこんであります。サーフェーサーを塗ってから、プラカラーで筆塗りしました。この作業はそんなに面倒ではなかった記憶があります。

ギヤボックスなどは下敷きから作っています。

実家の第二倉庫を探したら、この設計図も何枚か出てきました。最初はパイプフレームにして、エンジンなども再現しようと思ったようですが、だんだんと現実としてできることにトーンダウンしている様子が見えます。また設計図には、リアのスポイラーなども書いてあるんですが、途中で面倒になってこの形で完成させました。

 オリジナルカーは、考えているときが楽しい
 完成させたのはこの二台だけですが、残っている設計図にはセダンタイプやフェラーリディーノみたいなもの、あるいは潜水艦などもあります。「次は何を作ろうか。」と方眼紙に向かって考えるのは楽しかったですね。

その後、タイレルP−34のようにプラ板を使ったフルスクラッチをやったり、また、ラジコンを始めてからはFRPでボディーの一部を作ったりしています。

資料を揃え、実車に限りなく近い精密な模型作りが好きな人もいますが、「あれ、これ・・、プラモは発売されていないよね?」と言われたいという、私の「受けねらい」方向、これからも変わらないでしょう。

まあ、ラジコンのボディーは、どんなに上手に作っても、レースで使えばワンクラッシュで「パー」ですから、今は手を出す気にもなりませんけど・・。