いつもプラモを買っていた吉祥寺のデパートにそれはありました。何気なく箱を開けたときの鮮烈な印象は今でもハッキリ覚えています。
- ギヤボックスがとてもしっかりしていました・・・まず駆動シャフトが3mmととても太いことに感心し、しかもシャフトの先端に六角のメタルがインサートされていました。
- 動輪をこのメタルにはめ込んだ後、ポリキャップで止めるという固定方法でした。・・・当時の戦車モデルの常識では、シャフトは2mm、そこに動輪を金づちで「打ち込む」と言うのが当たり前でした。ここは絶対にミスができない部分ですが、力加減を間違って何度動輪をこわし、悲嘆にくれたか判らない、鬼門と言える部分です。
タミヤの方法は工作に失敗がありえない優れた方法だと思いました。
- 全体の出来がよく、表面の仕上がりも他社より上でした。・・・また開閉式のハッチ、よく出来た人形、赤外線ライトのクリヤーレッドのパーツなど、子供心をくすぐる仕掛けが数多くありました。
T55はよく走りました。キャタピラが外れることもなく(他社の戦車、例えばニチモでは、3m走っただけでキャタピラが取れてしまうようなモデルもあったのです)、よい音を立てて走ります。T55はまた、私が初めてプラカラーで塗装を行ったモデルでした(それ以前に絵の具を塗ってうまく行かなかった経験はある)。もちろん筆塗りで一色だけでしたが、塗装の魅力を感じた瞬間です。
大事にとっておきたかったT55でしたが、2.3年も経つとキャタピラのゴムが劣化して自然に切れてしまいました。ゴムの問題はプラモデルが芸術品として認められない原因の一つと認識しています。
これをきっかけに、タミヤの戦車シリーズは出るたびに買っていたように思います。特にスターリンはサスペンションがついた転輪(全部ではないが)や、これでもかと開くハッチ類、点灯する(!)サーチライトなど、心憎いまで子供心をつかんだプラモでした。
右は1966年春に撮った写真。中央やや右のM24チャーフィー(日本ホビー工業)以外はタミヤですね。特にお気に入りだったのは、サスペンションのついたスターリンです。
このチャーフィーは複雑な機構で自動走行するモデルでした。この会社も今はありません。