タミヤ 1/12 マトラMS11 の制作 その3 エンジンの工作

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足回りが大体終わったので、次はエンジン部分の工作ですが、ここでの最大の鬼門はマフラーです。

マトラMS11は自社製12気筒エンジンがとにかく美しい。エンジン本体ももちろんですが、左右に生えてる排気管もいかにもあの頃のF-1って感じでたまらないです。

実際レースではFORDの8気筒を積んだMS10の方がはるかに良い結果を残してるんですが、やっぱり見た目はこっちです。

ただしこのマフラー、どうもこのキットの鬼門のようです。

柏崎模型好楽会会長のK君(中学・高校の同級生で、1971年のモデルカーコンテストではFORDエンジンに載せ替えたMS11で応募)とやりとりしてるんですが、以下は最近の彼との 会話。

K 「マトラのラジアスアーム、(マフラーを避けるように)曲がっていなかったか?」

私「いや、キットのパーツは曲がってないよ。でも、そんな記憶もうっすらある」

K 「うーん」

 

そこであらためて当時の広告やカタログを確認したら・・・。

曲がっとる曲がっとる。
こっちはカタログ。
広告と同じ完成品を撮影したものと思われますが、曲がっています。

理由は簡単。6本のマフラーがお互い干渉してふくらみ、サスアームにぶつかっているからでしょう。

タミヤの中の人がカタログ用に作った完成品がこうってことは、その当時購入して作った人たちも苦労したんじゃないかと思います。

他の部分をどんなに素晴らしく作っても、これでは興ざめ。

そこで頑張った。

とにかく色々調整した。

お見事!
4本出しのマフラー、鼻血が出そうなほどかっこいいです。
 

えー、なかなか作業が進みませんが、理由の一つは一個一個のパーツの修正に時間を取られているから。

パーティングライン、型ずれ、抜き勾配のつけすぎ・・・などが目立つんですね。

例えば右のエンジン部品ですが、左半分はキットのまま、右半分が処理した方です。

 

 

このあたりのパーツは抜き勾配がすごくて、接着後に結構修正かけてます。

古いキットですからしょうがないんです。50年前の技術ですもの。

その代わりと言っては何ですが、とことん精密に作ってやろう!って熱意はすごいです。ちょっと病的。

最近こんなキットにお目にかかってないような気がします。

 

でも良く考えてみたら、それはプラモが50年であんまり進歩していないってことなんですよね。それも辛いなあ。

じゃあ、実車はどうなんでしょう。

右はモナコグランプリの予選べストラップタイムから割り出した一周平均速度です。

モナコの市街地コースは1950年代からそれほど変わっていないので、比較する意味はあると思いました。

計算してみてびっくり。こんなに速くなってるんだ。

今作っているマトラ(1968年)と現代のF1の差は、プロドライバーが運転するGT-Rと渡辺直美が運転するシエンタがレースするくらいの差になりそうです(筑波ラップから推定)

プラモももう少しがんばってもらいたいなあと思います。特にカーモデルは他のジャンルに比べて進化が遅いと思う。

 

話を戻します。

右は極小バネ。端面をフック状に曲げます。

こちらはマフラーのステー。
こんな風に加工しました。
ばねの力で固定します。
裏から見るとこんな感じ。
見た目は今一つなんですが

「本物と同じようにバネの力で止まってるんですよ〜」

と講釈するためだけにこうしました。

見た目は今一つです。

 

それから一週間、何か見た目が今一つなのが気に入らなくて、マフラー取り付けスプリング部分を作り直しました。

こんな風になってます。
アップです。

スプリングがマフラーに沿って曲がっているので、前よりかっこいいです。

また、このように作ってからステーに差し込むだけなので、最終組み立ての際に楽になるでしょう。

 

「最初は ”本物と同じようにバネの力で止まってるんですよ〜” とか偉そうに言ってたよね」

と突っ込みたい人もいるかと思います。

・・・固いこと言わないのっ。

 

フロント回りですが、ちょっとだけディテールアップしました。
ブレーキのマスターシリンダーを作ったので、配管もそれっぽくしたくなったんで。
リアも似たような感じで作ります。

本物はもうちょっと複雑なんですが、この程度でもやるだけの価値はあるかな。

フロントウイングにも手を付けます。

マトラMS11はレース毎にどんどん形を変えていっています。

・コックピット周りの形状違いが3〜4種類確認できる

・オイルクーラーの取り付け位置がころころ変わる

・ボディーサイドの補助タンクもあったりなかったり半分だったり

・そしてウイングも最初の頃はなかったのが、付けたり外したり場所を変えたり

と様々。

キットの箱絵はゼッケン6ですから、フランスGPまたはイタリアGP仕様になるはずですが、当時の写真を見るとあちこち違う。

ある意味この箱絵は架空の設定と言ってもいいくらいです。

まあ当時はそんなものでしょう。作る方も今みたいに調べようもなかったですし。

だから私も気にせず作って行きます。フロントウイングはかっこいいからつけることにします。

 

そのウイングですが、どうやってカウルに固定していたんだろう。また可変できたのだろうか・・・。

そしたらこんな写真を発見。なるほど。

と言うわけでこうします。
軸を通せば・・・、
可動式〜・・・、
・・・なのかなあ、本物は。
 

タミヤ 1/12 マトラMS11 の制作 その3 エンジンの工作

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