バンダイ 1/16 イターラの制作 その4 ディテールアップ

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(2020/06/14)

さて今度はエンジン部分などのディテールアップです。

前にも書いた通り、キットのエンジンには同じ年(1967年:今井)に発売されたビアンチと全く同じパーツが使われています。

つまりこのエンジンはイターラのものではないと考えて、資料をあさって可能な範囲で直していこうと思ったのですが、これは!という資料はなかなか見つからないんですね。

またあったとしても、構造がより複雑な後期タイプのものだったりしてどうにもならない。

そこで似たような構造を持った他車のエンジンを参考に、それっぽくでっち上げることにします。どうせ誰も知らないんだから。

 

まず冷却水の流れを作るために、こんな風に自作パーツを追加しました。

マフラーはそのまま使います。
反対側に回ります。

キットではキャブがツインになっていますが、イターラはシングルみたいなのでそうします。

またマグネトー式(※)発電点火装置のパーツも面白味がないので直します。

(綴は”magneto”。
「Xメン」には磁場を生成し操作する能力を持つミュータント、”マグニートー”が出てきますが、そういうことですね)

こんな風になりました。

ジャンクやプラ板の切り貼りです。

 

この頃(イターラは1905年)の車にはバッテリーはついていません。つくようになったのは第一次大戦後です。

エンジンが動いて発電機が回ることで初めて電気が生まれるわけですね。

燃料の供給も、小型電磁ポンプみたいなものはないはずなので、機械的に行っていたんでしょう。

右のパーツはマグネトー式交流発電装置をでっち上げるためにプラ板を曲げて作ったものですが、おそらく馬蹄形 永久磁石じゃないかと考えています。

私たちにとってなじみ深いマブチモーターですが、こちらのページによれば、マブチは1947年に 世界で初めて固定子に永久磁石を用いた小型直流モーターを開発したとあり、写真も出ています。

モーターと発電機は基本同じ仕組みですから、今回自作したパーツもそう思えるのです。

 

 

ちなみにマブチモーターの社名は、1971年までは東京科学株式会社でした。

だから私の子供の頃の広告なんかですと「TKKマブチモーター」を使えと書いてあるものが結構ありました。

私 なんぞはただ”マブチモーター”と呼ぶより、頭にTKKをつけて”TKKマブチモーター”と呼ぶ方がしっくりくるんですが、皆さんはどうですか?

(「その頃はまだ生まれてねーよ」ってか?)

燃料配管はキットでは全く再現されていないので、自作します。
良くわからないのが助手席の脇にある、自転車の空気入れみたいな装置。

ガソリンをキャブ(の定油面器)に送るか、あるいはガソリンタンクが密閉式だった場合、その内圧を高めるためのポンプじゃないかと推定してます。

そもそも助手席にポンプがあるってことは操作を助手に任せないといけないわけで、もしかしたら走行中は定期的に助手がポンプをシュコシュコしていたのかもしれません。

操縦席パネルにあるいくつかのメーターや怪しげなコックにも、助手席の方を向いていたりドライバーからは手を伸ばしにくいように思えるものがあります。

どうもこの車は一人で運転するようにはできていないのではないか。

もうわからないことだらけで嫌になっちゃいます。

 
(2020/06/18)

これは私が持っているコールマンのガソリンコンロです。

操作方法は、

・タンクに白ガソリンを入れ、キャップをしっかり閉める

・ポンプをシュコシュコして、タンクの内圧を高める

・バルブハンドル(黒い部分)を緩めると気化パイプを通ってガソリンがバーナーに回る(バーナーから霧状になったガソリンがもわっと出てくる)

・火をつける。最初は炎が安定しないが、炎が気化パイプを温めることでガソリンの気化が促進され、調子よく燃えるようになる

・しばらく使っているとタンクの圧力が下がって炎も弱くなるので、時々ポンプをシュコシュコし直す

てな感じです。

 

冬の暖房に石油ファンヒーターを使っているお宅も多いかと思いますが、この構造に一番近いのがダイニチさん。

灯油の気化に電熱を使っていたり、ポンプのシュコシュコの代わりにやはり電動のプランジャポンプを使っているなど進化していますが、原理的には兄弟と言えます。

コロナさんやトヨトミさんのものはこれとはかなり構造が違っています。

どの方式が良いとか悪いとかは言えないと思いますが、燃焼方式によって「クセ」があって、一つのメーカーに慣れると他のメーカーのものに違和感を感じることもあります・・・よね。

 

 

話が逸れました。

現段階ではイターラのタンクは密閉式で、ポンプでタンクの内圧を高めてガソリンをキャブまで送るんだろうと考えています。

となるとタンクも圧力に強い円筒形が有利ってことになります。

(お茶や水のペットボトルは容量が稼ぎやすい角断面が多いけど、炭酸飲料のボトルは丸いし肉厚も厚いもんね)

また給油口から空気が漏れたら大変ですから、キャップにはしっかりした構造が求められるんじゃないかと思います。

右の写真はキットのものですが、実車とは全然違うようです。

どうもこんな感じなんですよ。
上の四つの爪ですが、空気が漏れないようにしっかり開け閉めするため、必要に応じて何らかの工具を使っていたのかもしれません。
パネルのメーターや補機類ですが、キットのものはこんな感じ。

 

少々萎えます。
そこで色々やりまして・・・、
ジャンクパーツも活用しながらこうしました。

各パーツは実際よりオーバースケールにしています。その方が好きなんで。

エンジンルームに戻ります。

このでっかい歯車、回っている様子を見るのは面白いんですが、一応それなりにディテールアップしているので辛い部分もある。

悩んだ末に・・・、

こんな感じにしました。

仕方ないかな。

このように比較的順調に進めてきたのですが、あちこちディテールアップしていくうちに、前から気になっていたところがだんだん我慢できなくなってきました。

それはハンドルの位置です。

実際に人が座って操縦することをイメージした場合、ハンドルの位置が低すぎます。

 

また、軸も椅子の中心からずれています。

6〜7ミリほど中央に寄せたいところです。

右にずれた理由としては、

・まずエンジンやギアボックスのレイアウトが決まってしまった

・設計を進めて行ったら、ギアを入り切りするためのレバーとハンドルが干渉する。これを避けて遊びやすくした

・あるいはステアリングギアボックスのサイズの都合上、内側に寄せるのが難しかった

が考えられます。

このイターラを設計した今井の変態技術者さんにとって、当時の優先順位はスケール感よりも動きだったんじゃないかな。

悩んだ末の結論だったと信じたい。

実車の側面画像(ただし1907年型) を見ると、やはりハンドルがキットより立ち上がっています。これなら座れそう。

出来ればこうしたい。ただそれをやるとダッシュボードの傾きも変わり、かなりの手術になるでしょう。

でもそれが上手く行くと、このステアリングに関わるパーツがエンジンカバーを貫くというかっこ悪さも修正できそう。
ズドーンとやるしかないか。

上手く行くかはお慰み。

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