突然ですがここで実車のスリットについて解説させていただきます。
(興味ない人は読み飛ばしてね)
童夢・零RLは1979年6月のル・マン24時間耐久レースに出場した車ですが、プロトタイプや、5月にシルバーストンで走った車にこのスリットはありません。
ではなぜ途中でスリットが開けられたか・・・。理由はおそらくダウンフォースの強化ではないかと思われます。
レーシングカーが走ると正面から当たった空気はボディー上面に沿って後ろに流れていきます。ところが高速域ではタイヤハウスの上で流れがボディーから剥離してしまう(乱流発生)。こうなると十分なダウンフォースが得られません。
そこでこの部分にスリットを設けると、下から上がってくる流れの効果で剥離が抑えられ、本来のダウンフォースが得られるのです。
スリットはこのような理由で追加されたのでしょう。右はキットの箱絵に写っている7号車のスリットですが、いかにも慌てて手加工した感じです。
またル・マンでの写真を見ると、リアのスポイラーもリップが追加されているように見えます。
ストレートの速度向上を目的に、トレッドを狭くしてまでも前面投影面積を小さくし、しかも全長が異常に長い童夢・零RL、別名「レーシング界の一反木綿(おいおい)」ですが、設計段階でもくろんだダウンフォースは実戦では少々もの足りなかったようですね。
(ちなみにラジコンでもフロントのダウンフォースを増すための最終手段としてスリットを開ける方法が使われることがあります。私の経験ではスピードのある1/8エンジンカーなどでその効果を実感することができました。)
|