こだわり道場番外編・妹流、門外漢模型鑑賞虎の巻

 
『”妹さん”は模型作らないし、もともとのキットの出来がどんなものか知らないから、純粋に出来具合を見て評価してくれる。お世辞は言わない。
その直感がバランス良くてね。今回褒めてもらったってことは、まんざらじゃないってことと理解しました。』

これはAUG(オーグ)さん依頼の旧ビートルが完成した際、妹なりの感想を掲示板に書き込んだ時の兄のレス(2004年4月6日分より抜粋)。

いやはやビックリ!予想外のお褒めのお言葉。と同時に妹の目が完成具合の1つにされていたとは……。ちょっとオドロキ。
が、後でじっくり考えてみたところ、
『あ、これだけははずせないな』
自分なりにいくつか思い当たるふしが……。
と、いうわけで、今回、妹流、門外漢なりの模型鑑賞のノウハウを公開しちゃいます。題して[妹流、門外漢模型鑑賞虎の巻]

その1.これだけは覚えておこう。模型の基本スケール

『あのう……下宿人SHUN1/24さんの"24"って、何?』
HP開設当初、数字の意味がわからず画面の前で固まっていた妹。
でも、今はわかります。"24"というのは実物を基準にした模型の縮尺度数。模型の世界では[スケール]と呼ぶ。そして"24"というのは車模型の標準サイズなんですね。

同時に
・兄が作った漆黒ポルシェは1/12のビックサイズ
・市販のミニカーは1/72のスモールサイズ

など、車にもいろいろなスケールがあることがわかりました。

しかもこのスケール、模型全般に通用する基準。それゆえ
戦車には横目日記のアイドル犬・ルナちゃん2匹分が楽に乗れるビックサイズから、キャタピラをマスキングテープの接着面に固定しながら組み立てるスモールサイズ(嗚呼、想像するだけでめまいが……)まである。
・飛行機は車よりもスケール値がでかい(3桁は当たり前)。

なんてことも、兄の掲示板、並びにリンク先のHPを通じて知りました。いやはや一口に[スケール]といっても、模型によって色々あるんですねえ。

と、いうことは、たとえ同じ車や戦車の模型でも、大きさが違うと部品の精度も変わる。それにつれて技法や取り組み方、扱い方も変わってくるわけで……。
・1/12なりの冒険。
・1/24なりのこだわり。
・1/72しか出来ないこと。
・1/144(だったっけ?ちょっとうろ覚え)ゆえの苦悩。

それぞれの特徴を生かした作り方や楽しみ方があることを今では理解しています。門外漢とはいえ、これだけは要チェック!
と、ここまで書いてきて思い出した。そういえば私、"とても女性のものとは思えない"本棚に飾ってあるWTMの単色シュトルヒと、キットカットロゴの入ったチョロQのスケールがいまだにワカラナイ(爆)。いったいいくつなんでせう?誰か教えてくださりませ。

その2.形がわかればそれで十分

それにしても……車の種類の多いことよ。
おまけに戦車は製作年度や活躍した地域によってボディーの色を変えているなんて……(WTMシリーズで初めて知りました)。
と、いう具合に、車やメカに関する知識がほとんどない私。

だって、

4つの車輪にエンジンがついた日常的乗り物。今や一家に一台は当たり前、というぐらい普及している。
戦車 非日常的乗り物。上部に武器搭載。側面にあるキャタピラが車のタイヤにあたる。 カブトムシに似ている。
飛行機 空を飛ぶ乗り物。翼がある。車や戦車よりもデカイ!
水の上を走る細長い乗り物。 モーターボートから客船、戦艦までよりどりみどり。
フィギュア プラモデルの人形版。なぜか美女と兵士が多い。


この程度だもん(爆)。
が、裏を返せば、変な先入観なしに模型を楽しめるわけで。
おまけに製作者本人は、ただ、漫然と模型を作っているわけじゃない。

・歴史的背景
・メカの特性
・いかにして完成品を美しく、かつ、リアルに見せるか

などをはじめとしたさまざまな研究を織り交ぜつつ、こだわりながら作っているはずなので、完成品を目の前にしつつあれこれ聞けば、知識の蓄積も出来るし一石二鳥。時には模型よりもプラスアルファの話の方が面白かったりする……(爆)。

と、いうわけで、妹が今、見てみたいのは、助手さんがフルスクラッチで作った某国の○○○○。兄上とともに説明を聞けるのは、さて、いったいいつになるのでせう……。

その3.素人ゆえの発想と無知(モデラーから見れば怖さかも)を恐れるな

私は模型を作りません。鑑賞専門の門外漢です。
それゆえ、兄上が精魂込めて作った1/12のポルシェを[おむすび]。
新旧揃い踏みワーゲンの車体カバーを見て[車模型界のノミの夫婦]。
などなど、見たまま感じたまま、横目日記や掲示板でカキコ。その都度、自称"模型界のシーラカンス"を名乗る兄を化石の如く固まらせております。

(が、当の本人は、
『固まらせて申し訳ないm(__)m』
心の中で謝る一方、[素人]を免罪符にして兄上の反応を楽しんでいたりする。←こぅら、こら)。

早い話、門外漢ゆえ、模型界の常識がわからない。
そのため今まで得た知識を駆使して鑑賞した結果、自分なりに納得し、自分なりに感じた表現で正直な感想を述べているわけで。
モデラーの立場である兄上や皆さんが見れば、当然、的外れ、噴飯モンも数知れず。

でも、私は恐れない。
『最初はみんなこうだったんだから……』
などと思いつつはや3年半。ここまで来ればもう"芸"だ(爆)。
が、中には兄上の模型魂を揺さぶるものがあるようで。だって[おむすび]発言はそのまま横目日記に載ってるし、掲示板の[ノミの夫婦]カキコも削除されなかったもんね。
とはいえ妹が門外漢のまま居心地よくいられるのも、兄上と皆様の暖かいまなざしとフォローがあってこそ。こんな私ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m。

その4.製作途中だろうがなんだろうが、チャンスがあれば現物を見る

ありがたいことに、兄はわが家に来るたび製作途中の模型を持ってきてくれます。
その都度、画像とは違う迫力に感心し、画像と現物のギャップ(画像は大きいものの、現実は豆粒ぐらいの大きさだったという野崎氏と守田嬢の顔など)に戸惑っております。
”百聞は一見にしかず”
とは、まさにこのことですね。



でも、これが兄の掲示板のレスにあった
『妹さんは模型作らないし、もともとのキットの出来がどんなものか知らないから、純粋に出来具合を見て評価してくれる。その直感がバランス良くてね。お世辞は言わない』
の土壌になっているのだと今では思っております。おまけに模型を前に説明する兄上の表情がいいんだ。これぞまさしく
『体は中年。心は少年』
モード。オフ会のときとおんなじ顔ですわ。
と、いうわけで、来るもの拒まず、じっくり鑑賞。これからも身内の役得権を利用させてもらいます。兄上、これからもよろしく(ペコリ)。

その5.ミスは片目をつぶってみる

人間は完璧ではありません。それは模型作りにおいても同じこと。
だから完成後にも残るミスはご愛嬌。見つけてもさほど気にしません。反対にミスはいろいろな技術を覚える為の勲章。まさしく"失敗は成功のもと"ではないかと。

ただし、例外が一つ。
模型歴40年のわが兄上。ただでさえ完璧にこだわっているのに、ミスというアクシデントは天敵以外の何者でもないようで。
しかーも!
「あれ、これはどうしたの?」
なんて、妹クラスの門外漢に見破られるようなミスは屈辱ものらしい。
それゆえ自爆級のミスをしようものならさあ大変!
『ミスをミスと認めない技術はどうすればカバーできるか?』
というテーマをすぐさま提示。そして、
『それは表からは絶対にばれないように工夫することだ!』
なるコンセプトのもと、材料&資料を集め、今までの経験を加味しつつ実験開始。最良の方法を実行の末、ついには完成させてしまうんですね。

が、兄のこだわりはここで終わりません。
『でも、それだけじゃつまらないなあ。せっかくここまで直ったんだし……。
よし、その技術をみんなに公開しよう。なんたって
[模型の楽しさを日々人々に超伝導]
するのが模型電動士の使命なんだから』
編集の後、自分のHPでカミングアウト、のおまけ付き!



ずいぶん前、トランザムのスケスケ攻撃を通じ、このような状況を見せてもらった妹。
そんな時は兄の勇気ある技術に敬意を表し、両目をしかと見開いて、現物をじっくりと見させていただきました。

 

 

 



その6.製作者の熱意とこだわりをしっかりキャッチ

「カバーの塗装に関する○○は……」
「この部分をこうするには○○を使って……」

なんて専門的な用語で完成品を説明されても、私には全くわかりません。なんせ模型作ってないもんで(爆)。
でも、完成した作品は、製作者が手をかければかけただけ見るものを惹きつけるパワーが強い。同時に模型自身にも新たなる生命が吹き込まれるらしく、
「ねえ、見て見て。ちゃんと出来てるでしょ?
ほら、この車体カバーのツヤ、キレイでしょ?
どう、この内装。すごいでしょ?
おまけにナンバープレートも手作り。こんなとこまでこだわってるんだから……。
だから褒めてぇ〜?」
見つめるたび、モワン、モワン、と、波状攻撃的アピールをしてきます。
これは初心者、ベテラン問わず同じです。

だって兄上がサクサク作ったというニュービードル(といっても、HP開設当初よりレベル上がってます)と、AUG(オーグ)さんの依頼を受け、こだわって作った旧ビートルなんて
「ねえ、これ、本当に同じ人が作ったの?」
思わずたずねたくなるぐらい、完成した模型から出るアピール度が違いましたもん。
模型も愛情をかけて作ればちゃんと答えてくれます。だから最後まできちんと作りましょうね(ん?どこからか悲鳴が聞こえたような気が……)。

その7.いろいろな人の作品をたくさん鑑賞しよう

同じ車でもそれぞれにこだわりの部分や作り込みの製法があるし、種類が違うと技術も違う。初心者、アマチュア、セミプロ、プロ(ここまでくると、もう職人ですね)、と、進化してくるにつれ模型の出来は千差万別。同じ人でも得意分野やかかわる年数になどによっても出来が違ってくるようで……。
いやはや、模型の世界は日本海溝より深く、太平洋よりも広い。

でも、こういえるのも、門外漢なりに見てきたからこそ。自己流で作るのもそれはそれで一つのこだわりですが、時には他の人の模型を見て技術を盗むのも大切だなあ、と、改めて思います。
なんて、ちょっと偉そうなことを言ってしまいましたけど、でも、私の鑑賞レベルはいまだに波打ち際に打ち上げられた貝殻や海藻を見て喜んでいる程度。

それゆえ兄とは
妹「(パソコンの画面を見つつ)あっ、模型見っけ!」
兄「ほんとだ。よく見つけたね。何の模型かわかる?」
妹「車だね」
兄「どんな種類の車?」
妹「わかんない。でもきれいな車だね」
兄「……(絶句)」
妹「あ、あそこにも。でも、変な車だねえ……。色は一色なのに、角度を変えると迷彩色に見える」
兄「そりゃ、色ムラだ」
いまだに漫才もどきの会話が繰り広げられております。

その8.模型語を無理に覚えるなかれ

だって模型を作らない、と、いうか、天才的不器用さ(いや、模型にとっては"天災"か)で作れないんだもの(爆)。おまけに模型の専門用語は英語中心、カタカナ表示。それゆえオフ会で模型語が出る度、
「ワタシ、モケイゴ、ワッカリマセーン!」
の外国人です。皆さん、本当に日本人?

でも、HPの画像を見る限り、模型語は気になりません。なんせ前後の文脈と解説画像をじっくり見れば、
『あ、これはこの○○の部分を際立たせる技法なのね』
『ほほう……。この○○っていうのは、模型をキレイに完成させるための裏技なんだ』
おぼろげながらわかりますので(ちょっと開き直り)。
が、中にはどうしてもわからないものも。そんなときは、兄が来たときに説明してもらうまでのお楽しみ、のつもりです。けど悲しいかな、妹のレベルはまだそこまで行ってない。今は画面や現物を見て感心するだけで、もう満足(爆)。
さあ、兄上相手に模型用語で話が出来るのは、いったいいつになるのでせうか?

その9. 完成した模型に敬意を表することを忘れずに

はじめは意気込んで作り始めるものの、仕事や勉強、雑用等でなかなか手が付けられず、後回し。いつの間にか棚の隅に追いやられ、気がついたら塗料の代わりにほこり埃が塗られていた……。なんて経験、ありませんか?製作途中のまま日数がたち、ほこり埃をかぶった模型ほど惨めなものはありません(傍から見てもそう思う)。というわけで兄上、"謎の第2倉庫"にあるラジコンの車体カバー、なんとかしてくれい(爆)。
そのせいでしょうか。学業や仕事の傍らコツコツと製作を続け、完成した作品の現物、並びに完成画像をHPの画面上で見ると、思わず拍手をしたくなります。、同時にそこに至る数々のドラマを想像するだけでも楽しい。
完成した誇りで輝いている模型をHP上で見かける度、心から敬意を表しております。さて、今度拍手を送る模型は……。

その10.オンリーワンを見つけたい!

同じメーカーの模型を使っているはずなのに、不思議なことに、完成すると、1人1人それぞれの出来具合が微妙に違ってきます(Mizさんとさかもっちさんが主催した"ルマン"や"スモールガレージ"を見てそう思いました)。
おまけに模型作りの技術が進歩するにつれ、既製品にはない製作者のこだわりと個性がそこはかとなく出てくるんですね。それは門外漢の私が見てもわかります。

(おまけにここのHPには、
・模型をいかに本物らしく見せるか。
・ジオラマ作りは楽しいナ。
・スバル命!
の、管理人、下宿人、間借り人、こだわり三銃士が揃い踏み。おかげで門外漢ダルタニアンの目も、日々、鍛えられてしまふ……(爆))

そして将来的には、
「○○といえば、○○さんの作品の○○の部分はすごいですね」
「○○の分野だったら○○さん。あの○○に対するこだわりはすごい!」
なんて、門外漢なりにその人なりの個性やこだわりをすぐさま見つけ、堪能できるぐらいの目利きになりたい。そしてそんな妹の鑑賞眼が、兄上に限らず、他の方の勇気と希望を与えられるようなものになれば、この上ない幸せです。

と、いうわけで結論
[模型の出来の良し悪しは、門外漢が見てもすぐわかる。
これからも、素人モードで一直線!]

ありゃりゃ、結局、振り出しに戻るような言葉になってしまったナ(爆)。
でも、私のこだわりは、これからもほとんど変わることはないでしょう。
今後も兄上の模型作りを横目で見つつ、HPやオフ会等、オドロキと感動を与える模型に出会えることを楽しみにしております。
皆様、これからもステキな模型を作ってくださいね。待ってます。(^^)/