兄一家、来訪。この時、兄、ホームページ更新用の資料が欲しかったのか、
珍しく私の部屋(妹は勝手に『タコツボ部屋』と命名しております)に入ってきて、私の企みの進行状況を聞きながら本棚を眺めつつ、
「おー、お宝がいっぱいだ……。古本屋になんか売るなよ〜」とか、「横に模型の箱をいっぱい積んで、『第2の本棚』ということで、写真、撮ろうかなあ〜」 などという。
これこれ、ねつ造はイカン。まあ、自分で言うのもなんですが、とても女性のものとは思えないラインナップでございます。
それから、
「確かここに置いたはず……」
といいつつ、2階にある謎の第2倉庫にこもり、捜し物。
しばらくたってから、見覚えのある模型(色を見て気がついた。
あれは確かサボテンに塗料の花を咲かせる原因を作った犯人だ!)が入った箱と、B5版の方眼紙に描かれた車の設計図の束を持ち、1階の居間に下りてくる。
が、久しぶりの対面だったものだから、模型見学にしばし没頭。
その様子を不思議そうに見ていた小学生の甥っ子1号が手を出した途端、
「さわるな!これはお父さんの宝物なんだから!!」
だだっ子のような怒りモードに激変。
たちまち回りから、
「そりや、触りたくなるさ」
「『さわるな!』って言われてもねえ……」
「お父さん、早くしまって!」
甥っ子擁護と兄に対する批判が飛んだ。
その後居間の一角にあるアルバムコーナから古いアルバムを数冊引っ張り出し、
「模型の写ったものはないかなあ……」
といいながら探索開始。しばらくたってお目当てのものが見つかったらしく、
「よし、今度借りていこう」 満足そうな顔をしてアルバムを閉じた。
兄の家に行き、改装したホームページの見学、並びに1ケ月間の流れを聞く。
「あれ、この前、いつ来たっけ?」
「1月4日だよ」
「えっ、1か月近く来てなかったっけか。そうか……。
いや〜、あれからずいぶん変わりましてねえ〜」
と、にこやかな調子で話し始めたその内容は、妹の想像をはるかに越えるものだった。
なにせ、兄のホームページは模型の世界ではちょっと評判で、その世界では名を馳せている人からも驚きと賞賛のメールが送られてきたらしい。
しかも、だ。兄の模型に関するさまざまなエピソードはなかなか貴重なもので、模型の歴史を調べている人たちにとっては、ありがた〜い資料になるそうな。
兄、日く
「おれぐらいの年代で模型、作ってた人はたくさんいるんだろうけど、この年でインターネットに触れたり、模型のホームページを作ろうとしている人はあまりいないらしいんだ。」
おまけに仕事がらみとはいえ、日本経済新聞にまで紹介記事が載ったとか(昔、地方紙で紹介されたのは覚えているが、まさか全国紙に截るとは。う〜、妹は予想もつかなかった)。
義姉にお土産を渡し、パソコン一座が待つ2階ヘ。
まず、兄のホームページを見る前の準備段階として、兄のホームぺージとリンクしているという「田宮模型歴史研究室」さんの掲示板を初見学
(模型の歴史に関しては大御所とされるホームページ。ここでは兄のホームページもリンクされている。ここでリンクされるということは、大変名誉なことらしい。しかも、そこの掲示板に書き込む面々は、相当レベルの高い人たち。相撲で言えば、幕内三役といったところらしいのだが、兄、しっかり書き込んでいた。おいおい、いいのか、本当に)。
「ここ、読んでごらん」
言われたまま画面を見ると、そこは兄のホームページをみた人々の感想がびっしり書いてある。
『さて、皆様の感想は……』
軽い気持ちで読み始めたのだが、いやはや、その反応が尋常じゃない。『面白かった』 『楽しめました』 と言う前に、
「ぬおおおおおおおおおおおお!!!!!」
と、叫んどる。
しかも、その叫びは次から次へと伝染し、バトンをつなぐリレー競技のよう。
『うわ〜、濃い!ここまでやるかあ〜』
試作品を初めて見たとき、模型に関しては門外漢の私もこんな風に思ったものだが、その予感、やっぱり正しかったのね。
それから日時の古い順にマウス片手に見学関始となるが、途中、
なぜか 「111111番目に訪問したのは誰か?」
という話題で盛り上がっている。
「これはいったい何?」
意味が分からず兄に聞くと、
「ああ、それは『キリ番を踏んだ』といって、めったにないことだから、みんな縁起を担ぐんだ」
サラリと解説してくれる。
『ふーん、インターネットの世界でもキリ番を踏む、なんて、ジンクスもどきのことをやるのか』なんてことを思いつつ、掲示板を覗くかたわら、ホームページがきっかけで知り合いにになったメンバーの簡単なレクチャーを受ける(助手さんが、TVで時折見かけるあの方だったとは驚き。写真※見た時『見覚えがあるな』と思ったんだ。
また、漢字が違う伝道師さんも、ある模型の分野では超有名人とか。そんな人と知り合いになっちやったのお〜!おそるべし、イ
ンターネット)。 ※アーマーモデリング
次にリニューアルした兄のホームページを見学。画面が変わった途端、戦艦の模型を持ち、ほほえむ幼少の兄の写真を発見。大笑い。その後、変わったところを順次見学。
(中略)
見学が完了し、兄がパソコンのスイッチを切る間、一階の台所で義姉と共にコーヒーを飲みつつ、雑談。
その際、私が兄のホームペ
ージがらみでお邪魔しても迷惑でないかたずねたところ、
「私(義姉)はいろいろなこと(子育て。家のこと。仕事もしている)でホームページの方までかかわっていられないでしょ。だから妹さんが来てくれることで、話し相手ができていいみたいよ。迷惑じやないから、安心して」
ありがたいお言葉をいただく。よし、また、母特製のぬか潰けを片手にお邪魔するか。