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新潟市内のある会社(K製作所さん)から依頼され、縮尺1/40で商品模型を製作しました。
会社は新潟市江南区にあり、現在小型・中型トラックの荷台架装や携帯電話等の無線通信用、その他用途の局舎、産業用洗浄装置等を製作・販売しています。
小型トラックのアルミバンボディーの架装や通信用局舎製作では国内断トツなんです。
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会社の正面玄関には今まで作った主力製品のミニュチュア模型がショウケース内に飾られています。
今回、このケース内に「新製品の模型を追加したい」との事で製作依頼を受けた次第です。
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製作を依頼された模型は「屋外設置用 診察ボックス」です。
この「診察ボックス」はこの数年全世界を震撼させているコロナウイルスをPCR検査するためのもので、病院内では感染の恐れがあるため、敢えて病院の屋外に小さなコンテナのようなボックスを設置して、その中でPCR検査をするものです。
いかに医療従事者にコロナウイルス感染の危険を回避して安心してPCR検査が出来るか、という事なので、ボックス内部に仕切り板を設けて、患者さんと医療従事者のスペースを完全に区分けしてあります。
仕切り板には飛沫防止用アクリル窓を設け、検査の際はビニール製長手袋を腕に通して患者さんに直接触れる事なく検査が出来ます。
最近(2023年)ようやく感染者数が減って来て少し安堵感が出てきましたが、一昨年や去年までは経済や人々の行動がもの凄く制限され、みなさん大変な思いをされた事と思います。
この「診察ボックス」はK製作所さんと新潟県さんで共同開発されたもので、今まで35台程各病院等に設置されているそうです。
(初号機完成時には地元新聞やTV局なども取材に来たそうです)
実物のボックスサイズは長さ:3.6m、幅:2.0m、高さ:2.3mです。
各パネルは内外板共に白色カラーアルミで断熱材をサンドイッチした強固な断熱パネルです。
付帯設備としては吸気換気扇/排気口、ウインドエアコン、LED蛍光灯照明、サービスコンセント(2口)、換気用引違い窓、電源引込み用貫通口、ボックス吊上げ兼固定用リング等々です。
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模型製作にあたっては外観・内観の図面と写真の提供を受けました。
それらを基に、縮尺1/40サイズで外観のみならず内部も出来るだけ忠実に再現するようにしました。
模型のサイズとしてはボックス長さ:90mm、幅:50mm、高さ:57.5mmです。
スケール感が判るように完成後模型の脇にタバコ箱を置いて写真を撮ってみました。
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主な部材はタミヤのプラバンや京商のエバーグリーンのプラ部材等々です。その他各種洋白金属線や真鍮部材も駆使しました。
屋根や掃出し引戸の一部を切り欠いて内部が見えるようにしました。
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尚、模型完成写真撮影に関しては「模型電動士」さんに多大なるご協力を頂きました。
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前述のように今回の模型はボックス内部も詳細に再現する事とし、内部の付帯設備品とか、患者さんや医療従事者のフィギュアも製作し、まさに今PCR検査をしているかのような情景としました。
上は今回の診察ボックス模型の基本的な構造を示したもので、展示用の地面台座の上に床構造を載せ、その上にボックス本体を被せています。(もちろん実物ではボックス本体は床構造と一体で製造しています)
実物同様にボックスの四隅のリングにオレンジ色のラッシングベルトを引っ掛け、サイコロ形状のコンクリート製ブロックと結び地面に設置してあります。 但し模型なのでズレ防止のため台座下面から床構造とブロックをビス止めしています。(ボックスは床構造に被せてベルトで引張)
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左側が患者さんスペースで、右側は医療従事者のスペースです。
患者さんスペース内の白い箱は「医療用ペールボックス」と呼ばれるゴミ入れ。
医療従事者スペースには備品テーブルやダンボール製ゴミ箱、両方のスペースには手指消毒用アルコールスタンドが設置されています。
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また、中仕切りの患者さんスペース側のアクリル板脇の台に予めPCR用検査キットが置かれています。包装開封用ハサミも備えています。 ここで写っている装備品は全て自作しました。 ペールボックス本体はプラ製。背面の蓋開閉リンク等は0.4ミリ洋白線を曲げてハンダ付け。
脚部は0.8ミリ洋白線で、ゴム脚は黒いビニールコードの被覆を被せました。
フィギュアそのものはハセガワ製1/35の「建設作業員セット」のうち、「休憩3体セット」を用い、今回の縮尺1/40に合わせて脚や胴体の寸法を切り詰めたり、ヘルメットを除去したり、半袖服に改造したりしました。
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実物の中仕切り下には医療従事者がペールボックスの蓋開閉用ペダルを足で踏めるように、上下スライド式の板が左右に装備されています。
模型では上にスライドさせた状態で固定。 アクリル窓には腕通し用の丸穴がありますが、真鍮ハトメを利用しました。
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ここに通してあるビニール長手袋の表現には少々悩みましたが、腕に木工用ボンドを厚塗りして何とか表現しました。
女性側の長手袋はまだ腕を通す前の状態として、透明プラ板を手形状に切ってボンドを塗り、丸穴に垂らした状態としました。
扉や引戸、引違い窓のアルミサッシは薄いプラ帯板を重ねて断面をコ型やH型に成形して製作。
すりガラスは100均で見つけたファイルの表紙を利用し、実際にサッシ部材に差し込んであります。
患者さん入口の掃出し引戸は右半分側が入口で左半分は固定となっています。
左半分の引戸の室内側はアルミ板で塞がれてありますので、それらしくプラ板で表現しました。
左右の引戸は0.5mmの極小ビスで施錠してあり、このビスを外せば引戸を開く事も・・。
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以上が実物と模型の「診察ボックス」のご紹介です。
尚、この紹介記事での掲載についてはK製作所さんと新潟県さんの了解を得ています。
今後早々にK製作所さんのショウケースにこの模型が追加展示されると思われます。
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因みに現在のショウケース内の展示物の写真も載せておきます。 写真右端以外は東京の模型製作会社の1/43スケール作品です。
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右の写真、赤い「テレメーター用局舎」以外は私の作品です。
左は「移動式携帯電話局舎」。災害時の携帯電話接続を助けます。
中央奥が「携帯電話用無線通信局舎」。
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手前は設置場所の景観を重視した「防災用テレメーター局舎」。
奥は「地上デジタル放送用中継局舎」です。
これらは総称として「シェルター」と呼ばれています。
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