モノグラム  フェラーリ250Pと275Pの制作

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2017年7月2日の柏崎模型展示会で仮完成状態だった2台のフェラーリ250P・275Pの2台が漸く完成しましたので、ご紹介させて頂きます。  
1.はじめに

私は自分の模型歴50年以上に及ぶ中、ライフワークとしてフェラーリの歴代のプロトタイプレーシングカー全車種を作り上げる事を目指していて、この中でも特に60年代後半から70年代前半のPシリーズを最重要視しています。

この時代は私の青春時代で、巷では第一次スロットカーブームが勃発し、地元新潟市内でも数ヶ所にサーキット場がオープンし大盛況。私も大学受験勉強の傍ら、足繁くサーキットに通っていたものでした。

スロット用キットも各メーカーから色んな車種がどんどん発売され、フェラーリ車も色々出ていました。私は長谷川のフェラーリ250LMや田宮の330P2等を作って走らせていました。 他にもモノグラムの275P等もありましたが高価で手が出ず、垂涎の眼差しで見ていたものでした。

ただ、当時のボディースタイルはフェラーリ車の綺麗なラインを表現されていない事が多く、また年代が進むにつれてスロットブームも下火になり、新しい車種も発売されなくなってきました。

 

その後暫く経ってからモノグラムからフェラーリ275Pが通常のプラモデルキットとして発売され、いつかは入手してキチンと仕上げてみたいと思っていました。

そんな中もう10年程前、CG誌から刊行された桧垣和夫氏著の「スポーツカー・プロファイルシリーズ(3)・フェラーリ」が私のバイブル的な存在になり、益々その思いが高まってきました。

 

同じく10年近く前、模型電動士さんからこのモノグラム製275Pキットを頂き、その後自分でもう一台同じキットを入手し、2台同時進行で製作を開始しました。

 

2.フェラーリ250P・275P車型について

(1)この250P・275Pはフェラーリ初のV12エンジンのミッドシップ・レーシングスポーツカーで、1963年に登場しました。(この前1961年にV6エンジンのミッドシップ・レーシングスポーツカー「ディーノ246SP」が登場済み)

ご存じのように、伝統的にフェラーリの車種型式はV12エンジンの1気筒当たりの排気量に依って250・275・330・365(各々CC)等に区別され、ここにプロトタイプ車を示す「P」が末尾に付き、改良・進化の度にPの後ろに1・2・3・4と数字を付けていました。

 

(2)今回製作の車型

カーNo.21:フェラーリ250P(1963年ル・マン優勝車・シャシー#0814)   
(ドライバー:L.バンディーニ/L.スカルフィオッティー)

カーNo.20:フェラーリ275P(1964年ル・マン優勝車・シャシー#0816)   
(ドライバー:J.グーシェ/N.ヴァッカレラ)   

 

3.モノグラム製275Pキット、及び改造点について

箱絵では「フェラーリ275P」となっていますが、私の知り得る範囲ではノーズのインテーク形状から、どう見ても250Pではないかと思っています。

それで、今回は下記共通の改良・改造点、及び250Pと275Pの外観上の違いを表現する事としました。

 

(1) 共通の改良・改造点 は、以下の通りです

(写真は撮らずに工作していましたので、改造途中の写真はありません)   

a. キットでは前輪ホイール形状が後輪と共通の深リム形状で実車と違うので、サニー製フェラーリ250LMの前輪ホイールに交換。

b. ダッシュボードをボディーパーツから切り離し、その後の工作を行い易く改造。切り離したダッシュボードはコクピットパーツ側に接着。コクピットは小ビスにてボディーに脱着可能工作を施した。  

c. ウインドウパーツ下端にボディーパネルへの固定用フランジを追加。

(結構大変な作業だった)

d. 同様にロールバー(俗称:バスケットハンドル)下端にもフィレットを追加表現した。

e. キットのヘッドライトはメッキされたレンズパーツだけなので、エポパテで反射鏡を作り、別売りのクリアパーツレンズを取付けた。

(ライトカバーはキットのクリアパーツを使用)

(右の写真は余ったパーツで、左右のホイールはキット部品のフロントホイール、中央下のメッキパーツはメッキされたライトレンズ。コクピット等スロット用の不用部品も写っている)

 

f. フロントフェンダー両脇の水滴型フラッシャーランプは削り取り、クリアーパーツに置き換え。

g. 上記フラッシャー下の楕円形の車幅灯は深くえぐり直し、キチンと丸いレンズ面とした。

h. ノーズの補助灯はキットのメッキパーツを小さく改造し、ペットボトルから透明カバーを自作。

i. 後面のルーバーを開口。

 

j. リヤーフェンダー前方のエアーインテークは筒抜けになるので、おゆまるで型を作りエポパテで奥行を持たせて塞いだ。

(写真はおゆまるで作った型)

                  

 

k. フロントボンネット後部のストラップやラッチハンドルはエッチングパーツを使用。

l. シート後方にリヤーカウル固定用のストラップやクランプ金具を追加。

m. 運転席シートに2点式ベルトを追加。

n. コンペナンバーの照明灯はさかつうのホワイトメタル製を使用。

o. ノーズ下面にジャッキアップ用ポイントをプラ板で追加。

 

p. シャシーとボディーは接着せず、皿ビスでボディーに脱着可能にした。

(ボディー裏に柱を立て、そこにシャシーを3本の皿ビス止め)   

(2) 250Pと275Pの相違点

a. フロントノーズのフロントブレーキ用と思われるエアーインテーク形状が異なるので、エポパテやシアノン等で作り分けた。  

(No.21・250Pは補助灯下に横長のインテーク、No.20・275Pは補助灯脇に縦長のインテーク)

b. ウインドシールドのワイパー形状が異なる。  (No.21・250Pはパラレルリンク式アーム、No.20・275Pはシングルアーム)           

c. ウインドシールド裏のバックミラー形状が異なる。

(No.21・250Pはダッシュボード上、No.20・275Pはウインドシールド上内面に吸盤取付け式)

d. 275Pのフロントフェンダー上面左右に小さなエアーインテーク有り。

e. 275Pは左側面のナンバーにもナンバー照明灯数が付く。

f. テールパイプ形状が異なる。  

(No.21・250Pは2本出し、No.20・275Pは小径で4本出し)

 

4.完成写真

カーNo.21:フェラーリ250P(1963年ル・マン優勝車・シャシー#0814)   (ドライバー:L.バンディーニ/L.スカルフィオッティー) 作品No.507

カーNo.20:フェラーリ275P(1964年ル・マン優勝車・シャシー#0816)   (ドライバー:J.グーシェ/N.ヴァッカレラ)    作品No.508

 

5.今後について

今回製作した275P(1964年ル・マン優勝車)は正確に言えば前年度式ボディーであり、本来の1964年式ボディーはもっと新しい形状になっています。

今後MFH製レジン・メタルの複合キットを作って行きたいと思っています。

 

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