一日だけの世界一?(中編)
 二日目は暫定ポールでヒーローに
偶然セッティングが決まったぞ
午前中は公式練習。この日から参加する選手も3分の1ほどいます。 また走ってみましたが、相変わらずです。ここまで来れば、最後の手段でフロントタイヤのグリップを落とすしかないと結論。まさか使うとは思っていなかった「M(ミディアム)グリップ」を履いてみたところ、結構良いではありませんか。他の人とは異なりますが、これしか選択の余地なしです。

 解  説

 FFのミニは前後同じ同じタイヤが基本です。またタイヤ自体もファイバーモールドが最もグリップが良いわけですから、フロントに2段階下の「M(ミディアム)グリップ」を履くなどはセッティングの基本から見れば、異常でしょう。ではなぜそうしなければ良く走らなかったのか、それは私の車が基本的にかなりのオーバーセッティングになっていたからです。

 新潟での予選が行われた会場や、普段セッティングに使っている会社の駐車場はかなりグリップが良く、オーバー気味でも何とかなりますが、掛川はそのしばらく前からこの日のためにエンジンカーの走行を禁止していたとかで、走行ラインはかなりスリッピーな状態でした。そのコースに私の車は合わなかったのです。

いよいよ予選が始まり、この日の暫定ポールを獲得!

いよいよ午後から予選第一ヒート、第二ヒートが行われました。出場選手20名を10人づつ2グループに分けて走ります。

第一ヒートはかなり好調。他の車9台と混走ですが、どんどん追いつくことができます。結果は20人中2番手。とは言っても3位との開きはかなりあり、何とかなりそう。


第二ヒートはタイムねらいに走りを変えました。コーナーではなるべくインを取り、最短距離を走るようにします。かなり危険な走りですが、第一ヒートでとりあえずタイムを出していますから、冒険できます。 結果はタイムを縮めて堂々の一位。暫定ポールポジションを獲得しました。

「TAMIYA RCカーグランプリ」の取材がやってきて、インタビュー。「ラジコン歴22年。ポルシェ934からラジコンやってます。44才で大会出場者中最年長。」などのやりとりがありました。これは後ほど放送されました。

右はテレビ東京、タミヤRCカーグランプリの98年12月放送画面から。大きな画像は載せられませんが「ポルシェ934・・1976年、タミヤが初めて世に出した電動ラジコンカー」というテロップが添えられています。

セレモニーでヒーローになったぞ
夕方になりこの日の結果発表がありました。

全米チャンピオン(ボブ・セイガー選手)が、「自分でペイントしたボディーをこの日の暫定ポールポジション獲得者にプレゼントしたい。しかも明日の予選最終1位には車もプレゼントしたい。」とのことで、みんなの前に呼び出されセレモニーが行われました。

「こりゃ何かもらうだけでは、カッコがつかないな。」と思った私は、持参したデジタルノギス(未使用)を帰りみやげに渡すことにしました。

私   「これは私の知り合いの工業デザイナーがデザインしたデジタルノギスですが、お礼にプレゼントです。」
ボブ    「オー、コンナニ高イモノヲアリガトウゴザイマス。前カラホシカッタデース。(英語)」
私   「いやいや、あなたのペイントしたボディーは世界でただ一つのものです。」
などと国際交流に貢献しました。

(株)竢o版社 RC・WORLD1999/1月号より
記事では「自作の」となっているが、これは間違い。
記者様への私の説明が不十分だったようです。
(RCワールド様、画像掲載ご承諾、ありがとうございます。) 

事故の第二報が入った。
 夜、また奥さんから電話がありました。

奥さん  

 

「今日は大変だったんだから。今日も□部さん(不動産屋さん)や○井さん(大工さん)が来てくれて視てったし、事故起こした人はおみやげ持って謝りにくるし……。

□部さんは "基礎は大丈夫だと思いますけどね。あと、お風呂は配管だけで本体までやられていないようですが、って言ってるんだけど……。」

私   今日もって……昨日も□部さん来てくれてたの?
奥さん   父ちゃん(注:近くに住んでいる)が、"どれくらい壊れているかは□部さんにみてもらわんば"って言うので呼んだのよ。父ちゃんにしてみれば同じ××地区だし、知っている人だから。□部さんね、晩酌していたんで、奥さんが運転して連れてきたのよ。
私   うー。そこまでやる?
奥さん   あなたね。ホントに明日帰って来れない? どうせ予選落ちで、決勝は見物なんでしょ?
私   ところがどっこい、今のところ予選一位。 だから決勝出るんだもーん。
奥さん   全くもう!
 
長い夢をみてうなされた。

 その夜は長い夢をみた。

ボブ・セイガー選手と通訳たちが家に遊びに来ているのだが、なぜかボブ選手が車で私の家に突っ込んで、そのまま突っ切ってしまう。玄関からトイレまで、トンネルができてしまった。

ボブ選手は謝りながらも「飛行機の時間が……」などと言いながら帰ってしまう。そのうち二階が崩れてきて、家は壊滅状態になって行く……。

途方に暮れていると、ハッと目が覚めた。びっしょり汗をかいている。

正直、覚めたとき「夢で良かったー」と心から思った。その時間が何時だったかはわからないが、明日の決勝は5時起き(6時半サーキット集合)なので、とにかく睡眠をかせがねばと、寝る。