第31回 モデラーズクラブ合同作品展報告

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2022年5月14、15日(土、日)、ツインメッセ静岡 で3年ぶりに開かれた第31回モデラーズクラブ合同作品展に

「車談呆人 カー模deリング GARAGE24」

及び

「伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟」

のメンバーとして作品を展示しました。

各種イベント同様、様々な新型コロナ対策がとられていました。

各テーブル間を広く開け、座席数も減らして万一の感染リスクを抑えています。

写真は金曜午後の会場風景(仲間による撮影)。

事前予約の効果もあってか、会場はいつもよりは密にならず、快適に展示・巡回ができました。

前回同様「16式機動戦闘車」などもやってきました。

流石にでかい。

以下、気になった作品を紹介します。自分が今やっているジャンル、今後進みたいジャンルなどを中心にピックアップしましたので、サークル仲間の作品も一部しか紹介していないことをご了解ください。

 
車談呆人 カー模deリング GARAGE24

15人のメンバーどれもが卓越したスキルと発想力を備え、作品も力の入ったものばかり。

例えばマチウリさんのフォードフェアレーン500スカイライナーは1/32キットをスキャンして1/24に拡大し、中にマイコン制御のハードトップ収納 ・展開機構を備えています。

動画はハードトップを収納している様子。音声はカットしてあります。
ただ、なかなかデリケートな作りのせいか、土曜の午前中に故障し、日曜はだましだまし動かしていました。

次の機会には完璧な動きを見せてください。

フォードF-350(モンモデル)とアオシマのトランスポーター、さらにはタミヤのフォード・マスタングGT4を組み合わせたkwnさんの作品。

以前から構想を温めていたそうです。

こちらもkwnさん。
よくもまあこんなに上手にカーボンデカール貼れる もんだ。
ワークスさんのダズル迷彩、デカールはレーザープリンタによる自作。
茶菓餅さんは最近クルマだけでなく空モノも作っていて、この作品にもそこで得たテクニックがフィードバックされているような気がします。
最近は3Dプリンタでパーツなどを作る人が増えています。

このホイールもすごく出来が良くて、そのまま塗装しても何の問題もなさそうな仕上がりでした。

私はこちらと・・・、
こちらを展示。

みんなから見れば旧態依然たるテクニックですが、注目してくれる人がそれなりにいたのは嬉しい限り。

 伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟

1970年代のモデルカーコンテストに参加した人達中心に結成されたサークル。

老眼と戦いながら作っております。

ひろポンさんのロータス49タスマン(※)。乗っているのはジム・クラーク。

私は今、ロータス49B(もどき)を作っていますが、ひろポンさんのブログの工作過程もずいぶん参考にさせてもらっています。

※1964年から1975年にかけてオーストラリアとニュージーランドで開催されていたフォーミュラカーの選手権レース。通称「タスマンカップ」。エンジンは2.5リッターDFW。

イマイのロータス49。

イマイは当時、ホンダ、ロータス、マトラと1/12F-1を開発していて、モロにタミヤとかぶっていました。

全体的にはタミヤが上って評価だと思いますが、イマイにも優れた部分がいくつかあると感じています。

世田谷模型車庫さんのコジマKE-007。

1967年の「F-1 IN JAPAN」で活躍した伝説のマシンをスクラッチした、とんでもない作品。

中はこんな風になっていたり・・・、
後ろもこう。

エンジンとタイヤはウルフからいただいていますが、その他は全部自作って信じられないテクニックです。

メンバーのN上さんですが、昨年(2021年)7月にご病気で亡くなられました ・・・。

今回はご家族から二台をお借りして展示させていただきました。

またサークルの長老、K田さんも2020年の10月にお亡くなりになっていて、この三年の間にメンバーを二人も失ってしまいました。

そういうことが身近に起きてもおかしくない年齢になったとは言え、コロナさえなければもっとたくさん一緒に遊べたんだろうと思うと、とても残念。

左二台は私のロータスですが、右のブラバムBT14/15はK田さんが途中まで作っていたものをメンバーが引き継いで完成させたものです。
ゲストメンバーのploverbellさんの新作。
いつものことですが、工作の極限に挑戦した逸品です。

一台仕上げるのに1年〜1年半かかっています。

こういうのを見て、

「よし、俺も負けずに頑張るぞ」

と思う人はわずかじゃないでしょうか。

そういう意味でも孤高の存在。

私の作品。

動くイターラは大うけでした。

こういうキットがあったことを知っていたのは全体の2割くらいかな。

モーターはほぼ入れっぱなしでしたが、電池は半日以上持ちました。

 

 会場で見た、素晴らしい作品

ヒロシさんのZ、私の過去作も参考にされたとのことですが、はるかに素晴らしい完成度に感服。
作った人だけがわかるんでしょうけど、私が手を抜いた部分がちゃんと再現されているんですね。
窓枠のモール、私はスズメッキ軟銅線を使いましたが、彼は細い洋白帯板を使用してリアル感を増しています。

 

 

 

模楽(MORAC)所属、「はまくく」さんの作品を2つほど。
作り込みはもちろん、各部分の質感が リアルです。
フィギュアを乗せることで作品の魅力が倍加しますね。
こちらのロータス72Eは、モデルファクトリーヒロとタミヤのコンバーション。
何と言いましょうか・・・、全てが素晴らしい。
以前私も作ったことがあるフジミのディノディーノ206GT、正直あのかっこ悪さには納得できませんでしたが、見事にイケメン化したのがこの作品。
かっこいいです。
静岡で必ずチェックするのがmuttiさんの作品群。
こっちのジャンルにはあまり詳しくないんですが、その仕上げの美しさを見ているだけで幸せ。
タカマツニッパーズの”しゅーさん”さんの作品も素晴らしいです。

写真だけでその美しさは伝えきれません。現物を皆さんにも見てもらいたい。

「43モデラーズクラブ・ルマンの会」にあったポルシェ917K。

プロバンス・ムラージュ製なので、去年私が作った917LHと兄弟のようなキットじゃないかと思われます。

ああ、まだ私は到底このレベルに達していないなと感じました。

こちらはもう何と言いましょうか。
ため息しか出ませんねえ。
3Dプリンタはモデリングの幅を大きく広げてくれる技術。

私が参加している2つのサークルの中にもソフトと機械を駆使してパーツを作っている人が結構います。

ただ聞いていると使用に耐えるパーツを作るにはかなりのスキルや経験が必要で、誰でも簡単にとは行かない模様。

でも特に若い人ほど果敢にチャレンジしているように見えます。

これを作られたのも高校生だと聞いてびっくり。

N.O.Sにあった作品。

例えばこれはアリイのキット(もとはオオタキ)を仕上げたもの。

こちらの3台はニチモ。

他にも永大グリップなどもありまして、昔のキットを現在の鑑賞に耐えるように仕上げる方向のモデリングは、私も大好きです。

サンニイ情景友の会にあった作品。

いつかはこういうものが作りたいと思っていたジオラマが目の前にありました。

素晴らしいとしか言いようがありません。
新潟エアクラフトモデラーズは地元なので、メンバーの何人かとは顔なじみ。

行きつけの模型屋さんのショーウインドウで作品を見ることもあります。

流石にこんなでかいのは展示会でしか見られません。

この根気・・・。
自然な汚し表現が素晴らしいです。

逆にこちらは汚しを抑えたクリアな仕上がり。

エブロのロータス(1/20)。

右の49Cは今作っているタミヤの49B(1/12)の参考資料用に買っていますが、タミヤが終わったらこちらも作ってあげないと失礼。

どんな感じにすればいいかとじっくり眺めさせていただきました。

 

キットでは省略されている燃料パイプやプラグコードもちゃんと作り込んでいますねえ。
口から煙を吐くゴジラ。

右にホースが見え、その下にアイリスの超音波加湿器。正体は霧でした。

この角度から見ると迫力満点。

今年の展示会で私のイターラがウケたのはモーターで動くから。

また、電飾や音で目を引くものも結構ありました。

動き・光・音・・・、さらにないかとなると、次は煙か?

 

 まとめと考察など

2日間、会場を回ったり多くの人と話して感じたことは、

・みんなの作品のレベルが明らかに上がっている

・3Dプリンタなどのデジタル技術が当たり前になった

・アオシマの楽プラが売れているらしい。初心者をこの世界にいざなう役割を担っているとしたら嬉しい

など色々ありますが、それぞれについて語っていくと長くなるので、今回はモデラーの「終活」について書いてみます。

 

3年ぶりにお会いした皆さんは3年分歳をとっていました( あたり前)。

ぱっと見た目はほとんど変わらなくても「疲れ方が前と違う!」と言っている人が多かった。私も初日の夕方に一回エネルギーが切れてしまってちょっと焦りました。
(イターラに喰いつく人が多くて、つい一生懸命説明したからかもしれないが)

またこの三年の間に失った仲間もいます。私の所属しているサークルでもそうでしたし、親しくしているサークルにもいらっしゃいました。これは決して他人事ではなく、いつ自分がそうなってもおかしくない年齢になったんだなあと痛感します。

もしそうなった場合、残された完成品・キット・資料本の処理が大変です。ヘビーなモデラーが残したものは同じ趣味を持つ人にとっては価値があるんでしょうが、それを誰がどう片づけたら良いのか。
大抵の場合、家族はそれらの価値がわかりません。最悪全てがゴミになることも考えられます。親しい模型仲間にその作業をお願いするとしてもかなりの負担になるでしょう。

私も心だけは若いと思っていても、現実問題としてあと10年やれるかどうかでしょう。

それを考えると、

・いつか作ろうと思っている大物キットは元気なうちに優先して手がける

・作るかもしれないけど作らないかもしれない・・・みたいなキットは地元の展示会などで積極的にばらまく。やっぱり作りたくなったら買い直せばいい

・完成品も、展示会でお披露目の終わった後なら、もし参考にしたいという人がいればプレゼントは厭わない

などをやりながら徐々に身軽にしていくのが自分のため、家族のためかもしれません。

こんなことは考えないに越したことはないのですが、避けられない現実問題でもあります。中高年モデラーにとって時間は有限ではない。これから先、何をどのように作っていくのが良いか、真面目に考えていこうと思った展示会でした。

(右は私の家のキット保管状況。工作室には収まりきれず、家族の部屋も侵食しています。全体では120箱程度と決して多くはないと思いますが、それでもこの有様)