第32回 モデラーズクラブ合同作品展報告

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2023年5月13(土)、14日(日)、ツインメッセ静岡 で開かれた第32回モデラーズクラブ合同作品展に

「車談呆人 カー模deリング GARAGE24」

及び

「伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟」

のメンバーとして作品を展示しました。

このゴールデンウイークの人手は新型コロナウイルス感染症5類移行の効果もあってかすごいことになりましたが、静岡ホビーショーも大変な混雑具合でした。

中にいたので気付きませんでしたが、初日の昼頃は検温の列が会場を一周していたとか。

昨年はほとんど見かけなかった海外の人の姿も目立ちましたね。


車談呆人 カー模deリング GARAGE24

GARAGE24のメンバーはそれぞれが一騎当千の凄腕ばかり。

最近は3Dプリンタを駆使する人も増え、手作りでは困難な改造や小物制作に活用しています。

私も覚えたいなあと思うものの、使いこなす頃にはヨボヨボになっているでしょう。

まあ困った時はメンバーに

「こういうの作ってね。金は出す」

と言えば何とかなると思ってます。

以下、メンバーの作品をピックアップでご紹介。全員とはいかなくて残念ですが。

クラブの今年のお題は「丸目2灯」。

少なくとも一台はお題に沿った完成品を作ってくるのが縛りです。

お題の特性上、比較的小さい車や昔の車が集まりました。

ちなみに来年のお題は展示会中に「さかもっちゃん」から発表されています。

そのテーマに合ったものなら市販キットを普通に作ってもいいし、改造したり自作してもいいいのですが、やはり何かしら工夫のある作品にしたくなるのがモデラーの性ですから、皆悩むことになります。

マチウリさんのムスタング。

「バニシングIN60”(1974)」の劇中車、エレノアです。

ベースはアリイ(旧オオタキ)。

左のきれいな方は、キットのボディーラインを大幅改修。

右の方は映像をもとにベコべコになったボディーを3D造形したもの。

 

制作プロセスは、後日公開されたテレビ愛知制作のYoutubeチャンネル、「極上ライフ おとなの秘密基地」、静岡ホビーショー特集の第二回目 で取り上げられています

わーくすさんも3D造形を日常使いしています。

Kwnさんのフラットノーズ。

ヘッドライトは開いている時に点灯。押し下げると消灯し、ロックもかかるという凝った構造。

ついそこばかりに目が向いてしまいますが、ボディー改造も塗装も素晴らしい。

歴代Zのカタログページを1/24と1/32で再現。
1/24はメンバー4人による合作。

配置に合わせると、

わーくす、Kwn
マチウリ、有楽町@M2F

となります。

これもサークルならではの楽しみ。
 

1/32の方は、最近アオシマの楽プラにはまっているmonさんが一人で作ったもの。
n-hirobeさんは愛車を再現しようと画策中。

ホイールはメンバーのにくきゅーさんに依頼。

 

n-hirobeさんはこれとか・・・、
これとか、素晴らしい完成品も持ってきているんですが、一番ウケたのがまだ作っていないGRヤリスだったってことで、かなり複雑な思いだったようです。

世の中そんなもの。

マチウリさんの「ハービー」。

映画「ラブバッグ」シリーズの第三作、「ラブバッグ モンテカルロ大爆走(1980年日本公開)」の”主人公(意思を持っている)”です。

私、第一作(1969年日本公開))は映画館で見ていて、ものすごく面白かった記憶があります。

車が好きになった理由の一つに、この映画が影響していたかもしれない。

 

ゆるキャン△の志摩りんのアニメ版と実写版。Kwnさんの作品。

私は実写の方はずっと見てるんですが、5人の俳優の再現度がすごいらしいですね。アニメ版を見ていないのでよくわからないんですが。

私のクレスタ。

このキット、ボディーはヨレヨレですが、追加で設計されたエンジンやシャーシは良く出来ています。

だからエンジンルームを若干ディテールアップし、後は各部の辻褄を合わせれば結構見られる完成品になるんですよ。

その辻褄合わせがとてもとても大変だったけど(問題はそこだよ)。

エンジンを再現した作品は魅力大ですが、最近のエンジンはカバーで覆われていることが多く、ボンネットを開けても今一つ面白くない。

それに比べてこの時期の車はエンジン丸見えでいいですねえ。

アウトビアンキも好評でした。
cobaanii mokei工房のブースの前で足を止めたら、社長さんから声をかけられました。

私がアウトビアンキの台座にここの製品を使っていることをボビーライフのmuttiさんから聞かされていたそうです。

ミニジオラマはこれからの私の制作テーマの一つなので、これからもこの会社の製品にお世話になることは多いと思います。

cobaanii mokei工房のブースにこんなものもありました。

あまりにもリアルで笑っちゃうくらいです。

こちらは会場で見た作品です。

最近はフィギュアに小物を絡めた作品を作る人も多くなり、色んな会社が色んなものを作っています(※)。

ただし、もととなるフィギュアは圧倒的に美少女系が多い。

cobaanii mokei工房さんの居酒屋メニュー風小物、組み合わせやすいフィギュアは「おっさん」になるんでしょうけど、そういうものはほとんど見たことがない。

もしかしたらこれらは単独で使うことを想定した製品なのかもしれません。

※この作品では「ハセガワ 1/12 フィギュアアクセサリーシリーズ」が使われている


 伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟

今年はちょいと予算をかけて立派な看板を制作。

広い会場をウロウロしていると自分のブースがどこだかわからなくなってしまいがちですが、これなら迷子になりません。

何度か書いていますが、このサークルは1970年代に開催された全国規模の模型コンテスト(※)に参加した人達中心に結成されたもの。

(※タミヤのカーモデル・バイクモデルキットを使用するのが条件)

当時は皆十代〜二十代でしたが、50年も経てば全員ジジイ。

プラモ少年達がその後どう生きたか・・・。もちろん模型や車とは全く関係のない仕事をしている人もいますが、

・自動車メーカーのエンジニア、デザイナー
・イラストレーター
・ホビーデザイナー
・日用家電デザイナー

などを職業に選んだ者もいて、まさに「三つ子の魂百まで」。

この看板のイラストやデザインもメンバーの手になるものです。プロなんで。

今回、来場者が一番喰い付いていたのが、Mさん制作の日野プロトJ494。

ボディーは市販品(Q-MODEL)ですが、中身は全部自作という恐ろしい作品。

Iさんは大量の1/8モデルを持ち込み。

場所を取るのでこんな風に展示しましたが、あまりの重さにスタンドが変形気味だったそうで、途中から四段が三段になってました。

ミーヤンさんは、タミヤの1/18キットをわざわざトミカ風に改造。

エンジンルームは3Dプリンタで作ってます。

縁あってメンバーになっている若手のN君。

本当にきれいに仕上げられた作品群は、変なのしか作らないジジイメンバーの作品の中で一服の清涼剤になっています。

私はこのあたりを持ち込み。

頑張って作ったロータス49Bの反応は今一つでした。

この時代の葉巻型F-1を懐かしいと思う人はあまりいませんし。

一方ムービングベルトは大人気。

小学生くらいのお子さんなら、男女問わずほぼ立ち止まってくれます。

じっと見ている子供には声をかけ、遊んでもらうこともしばしば。

ほとんどの子供達(大人も)の反応は

「このしくみ、どーなってるの?」

ですが、中には磁石を使ったメカニズムをほぼ正しく推定する子もいて、エンジニアの素質ありだなと思いました。

 

※右の写真の公開については保護者様の許可を得ております

こちらはニコニコニュース生配信の様子。

3時間6分あたりから。

画面がロータスに切り替わっても、みんなムービングベルトのことしか書いていません。

それが無慈悲な現実(笑

 

また、後日公開されたテレビ愛知制作のYoutubeチャンネル、「極上ライフ おとなの秘密基地」、静岡ホビーショー特集の第二回目 でも取り上げられています

 

なお私のムービングベルトは、以前模型多国籍軍のブースで見たこれに触発されて作ったものです。

今年は車種を変え、ベルトの材質も変更(※)して展示されていました。

※前はゴムだったけど伸縮性のある布に変えたそうです。ちなみに私のベルトは障子紙を塗装したもの。

このように動き・音・光がある展示はお客様の目を引きます。

静岡ではとんでもない数の作品が展示されます。そしてどれもレベルが高い。

その中で埋没しない工夫がされていると、特に大きな展示会では効果大。

例えばこちらのDr.カノンさんは動く模型のオンパレード。狙ってやっているかどうかは別として、特に子供さんを絶対スルーさせない魅力がありますねえ。


極上ライフ おとなの秘密基地

テレビ愛知が制作し、YouTubeで配信されている「極上ライフ おとなの秘密基地」。

主にホビーや実車などで濃い活動をしている人を紹介しています。

今年は独自にブースを構え、過去に登場した方々の作品を展示。

手前はGARAGE24メンバーで変態開閉モデラーとも称される「さかもっちゃん」の作品。右にはNさんの作り込まれたZ。
手作りでドラムセットなどを作っている方の作品も。
で、今回は会場の濃いモデラーたちをリレー形式で取材したいとのことで相談され、私の知り合いを何人か紹介させていただきました。

こちらはFさん。

Fさんは伝説メンバーの一人でもありますが、最近はこっち方面もやっていて、「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」の「全国人工衛星・探査機模型製作コンテスト」で何度も最高賞をとっています。

他の人のインタビューにも立ち合いましたが、皆さん話始めると止まらない。

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編集が終わって公開された動画はこちらです。

右は新潟エアクラフトモデラーズのO橋さんにインタビューしている様子。

こちらの回はここに。

私の次、二番目に登場しています。



 会場で見た、素晴らしい作品

今年はこれを見なきゃ。

かっぱコーヂさんのランチアデルタ インテグラーレ16F。1/12です。

説明不要でございます。眺めていられること自体が幸せ。

カーモデルを作る人なら誰もが「いつかはこんな作品が作れたらな」と思うことでしょう。

 

これも絶対外せない。

ヒロシさんのタイレルP34 ’76日本ブランプリ。1/12です。

ヒロシさんの作品は、ものすごく作り込んでいるんだけどうるささを感じないところがすごいと思います。
P34の作例は結構多く、もちろんどれも素晴らしいんですが、1/20ではタカマツニッパーズにあったこれが一番刺さった。

実車のエピソードが添えられている展示も新鮮です。

去年は不参加で心配していたスケールワークスさんでしたが、今年は復活。

ここを見ないと静岡に行った気がしない私。

スケールワークスさんはモデルファクトリーヒロのキットを使うことが多いんですが、ヒロは超精密な分、完成させるまでの手間は大変だし制作難易度も高い。

それを見事に仕上げてくるスキルはすごいです。

逆に注意しなくてはならないのは、見る方にも体力が必要なことですね。
1/43を見るならここ、「43モデラーズクラブ・ルマンの会」。

私も最近になって1/43を作るようになり、あらためて並んでいる作品群のすごさが判ってきたところです。

こちらは製作途中から見ていた作品。

恐ろしや。

いつかはこんな風に作れたらいいな。
プロジェクトFの模型転倒虫さん、前から上手だなあと思ってますが、その完成度はますます高まり、見る人を感動させるレベルに達しているなと感じます。

なぜかは工作過程を見ていればわかります。

こちらも模型転倒虫さん。

仕上げの素晴らしさでは、会場に並んでいる数多くの完成品の中でもトップクラスだと言えます。

同じプロジェクトFメンバー、単身赴任模型堂さんのハセガワZ。
そしてロッソのNSX。

タミヤ以外の1/12国産スポーツカーのプラモデルはなかなか種類が少なく、完成品を見る機会は多くない。

それだけでも素晴らしいのですが、この2台はあちこちディテールアップもされていて、私が今までみたことのある完成品の中では間違いなく最高作例だと思います。

「普通、そういうことはしないでしょ」な作品

F1は1/20が一般的。

1/24キットもあることにはありますが、だいたいそれらはモーターライズで「おもちゃ」の領域。

こちらはそんなキットを徹底的にディテールアップしたもの。

よく見ればエンジン部分はモーターが入ることを前提に上げ底っぽくなっていますが、それを感じさせない作り込み。

世界で唯一無二の作品になっています。

かつて私たちを喜ばせてくれた、オオタキ・ヤマダ・ニチモ・マルイ・永大グリップなどのカーモデル。

これらは今見るとスケールモデルとしては残念なものがほとんどですが、それはしょうがない話。

でもそれらに徹底的に手を加え、現在の視線に耐えるように作る。

私もそういうことはたまにやりますが、ここまで徹底されると口あんぐりです。

このマッハ号、キットがご自分のイメージとあまりにも違っていたので、納得の行く形に持って行ったとのこと。
その違い、このアニメに思い入れがない人にはどうでもいいことなのかもしれませんが、やりたくなる気持ちはすごくわかります。
一方こちらは中身を徹底工作した作例。
やりたいからやるんだって強い意志を感じます。

こちらのVIVIO。素晴らしい完成度。

 

プラモ化はされていませんが、こういうことですね。

 今思っていること


展示会に出品する目的ですが、

・苦労して作った作品を見てもらいたい。注目されたり褒められればもちろん嬉しい
  
・出品者や訪問客と模型談義に花を咲かせたい
    
・同じ趣味の仲間を増やしたい
  
・素晴らしい作品を見てモチベーションを高めたい
  
・新たな表現技法を学びたい

あたりは多くの人に共通の認識じゃないでしょうか。

私の場合、これに加え

・来場者(特に子供さん)を一人でも多く模型工作の世界に引き込みたい

思いも強く、今年はそれ狙いで作ったムービングベルトを持ち込みましたが、目論見通りの成果を得ることができて良かったです。ただし多くの子供さん達に遊 び方の説明をしていた分、他のことがおろそかになり、会場の他の作品をじっくり見る時間が十分取れなかったのは少々心残りでした。

もう一つ感じたのは体力の衰えですね。明らかに以前とは疲れ方が違う。年齢的にもしょうがないんですが、あと何年現役でいられるだろうとまで思ってしまいます。体力や気力が衰えれば「大物」にはなかなか手が出せなくなってしまいますし。

そこで静岡から戻ってからストックしてあるキットの中で「本当に作りたいもの」をリストアップしてみましたが、その数が意外と多い。全部こなすのには数年 かかるでしょう。そうなると「いつか作ろう」なんて悠長なことは言ってられません。大物制作には下準備も要りますから、綿密なスケジュールを立てながら制 作に励みたいと思います。