第30回 モデラーズクラブ合同作品展報告

展示会INDEXへ戻る

 

2019年5月11、12日(土、日)、ツインメッセ静岡にて開かれた第30回モデラーズクラブ合同作品展に、「車談呆人 カー模deリング GARAGE24」、及び「伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟」のメンバーとして作品を展示しました。

「伝説」の方の設営が結構面倒なので、金曜の夜に会場入りしましたが、すでに「リバティーウォーク、アヴェンタドール Limited Edition」が展示されていました。

金曜夜、設営中の会場風景。

初日(土曜)も 準備で朝早くから会場入りしましたが、ちょうど「16式機動戦闘車(ひとろくしききどうせんとうしゃ)」の搬入に遭遇。

これはいわゆる「戦車」ではないですが、火力は105mmライフル砲と一人前ですし、道路などを自力走行して現場に向かうことができるなど、運用面を意識した戦闘車輛です。

ホビーショーの看板をバックに、いい写真が撮れた。

そして開場。ものすごい人出。

今年はGARAGE24と伝説のブースが遠く、往復するのも一苦労です。

スケールモデルの衰退が話題になることも多い中、来場者だけがどんどん増えているのは何故なんだろう。

作る人と見る人が分かれてしまったのかなあ・・なんて思ってしまいます。

 
車談呆人 カー模deリング GARAGE24

GARAGE24のメンバーとして静岡に参加開始して14年目。

メンバーも15人に増え、テーブルの上は作品でぎっしりです。

GARAGE24は私の本籍地ですが、7年前からは「伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟」のメンバーも兼ねています。

今年は「動くマトラ」に貼り付きになっていてこちらにはほとんどいなかったので、メンバーの作品全部は撮りきれていません、残念。

今年のお題は「GT&フィギュア」。

車を作るのには慣れているメンバーですが、フィギュアを揃えるとなると苦労した人もいたみたい。

でもみんな必死にお題に喰いついていました。

「茶菓餅」さんのメルセデスAMG GT3。

このキットは会場でもあちこちで見かけましたが、「変態開閉モデラー」としてはドアを開けない選択はなかったでしょう。

おとねえさんフィギュアも車に合わせたきれいな仕上がり。

「naga」さんの「レビン」と「トヨフリ」さんの「スプリンタートレノ(AE86・GTV仕様)」。
「レビン」の脇に立っているフィギュアはもちろん「郷ひろみ」ですが、本人は「若人あきら(我修院達也)」になってしまったと・・・。
「有楽町@M2F]さんの「プロボックス 究極!ニパ子ちゃん」。

私、痛車は嫌いじゃないし、ゴッドハンドは地元新潟の会社だし、この作品妙に好き。

「mon」さんの「フェラーリ カリフォルニア 250GT」ですが、作品カードのタイトルは「またお爺さまの車を勝手に持ち出して」。

となると、黒い服を着た女性は「女執事」って設定でしょうか。

「kwn」さんの「マクラーレンF1-GTR」ですが、タイトルは「留学中にバイトでル・マンでレースクイーン」。

かなり強引な設定。

なおパラソルは骨組みを洋白線で作っているそうです。だからこんなにリアルなんだな。

「おべ」さんの「マットビハイクル#2」。この車については説明不要ですね。

ドアを開けて、中にコンピュータも再現しています。すごい。

「トヨフリ」さんのソアラ。

おねえさんがスマホじゃなくてガラケーを覗いているあたり、時代考証もばっちりですネ。

「マチウリ」さんの「レガシィGTツーリングワゴン」。初代レガシィの広告にはブルース・ウィリスが使われていました。

フィギュアは自作、3D切削ですって!

同じく「マチウリ」さんの「ヴィヴィオ」。

以前のクローズドボディーに続き、Tトップの新作です。

あ、もちろんキットではありません。自作・・・ってさらっと書いているけど、ありえんぞこれは。

「SHUN1/24」さんの「オペルGT」。AMTのキットに手を入れ、ヘッドライトはくるりんぱと出たり入ったりします。ここが大変だったとのこと。
私のソアラとスカイライン。

みんながちゃんとした車で参戦した中、ちょっと恥ずかしかった。

以下はテーマ以外の作品。

「n-hirobe」さんの「デルタウイング」。工作過程を見ていると、あちこちすごく大変だったことがわかるんですが、出来てみるとすごく自然な仕上がり。

それってすごいことですよね。

「わ〜くす」さんの「DOME S101 JUDO」。

全面デカールを隙間なく仕上げるってすごい!

「にくきゅ〜さん」の「フォード・フィエスタWRC」。

私はラリーカーのプラモには詳しくないんですが、どうやらこの完成品がここにあること自体がすごいことらしい。

サークルに参加した時は中学生だった「H」君。

この四月に無事志望の大学に入り、楽しく学生生活を送っているとのこと。

この「GT-R」は実車の塗料を使用。毎回何かしらのチャレンジの成果を見せてくれます。

「ルーフ電動開閉機構ロードスター」でおなじみの「katsu」さんの「マツダ ランティス」。

彼の作るスクラッチ作品は(確か)全てマツダ。その彼が一番愛している車がこのランティスです。

ネコワークス製のキットをベースに色々やっていますが、最後はどうなるんでしょうねえ。

 

 

 

 

 伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟

こちらは1970年代のモデルカーコンテストに参加した人達中心に集まったサークル。当時10代半ば〜20代前半だったメンバーも、50年近く経てば歳を取ります(私の場合、16歳→65歳)。

今年はメンバーの何人かが「先日手術したばかり」「入院して退院したが大事を取る」などで不参加という情けなさ。一時はどうなるかと思いましたが、若手の活躍や協力者様のおかげで何とかこなすことができました。

こちらはそのコンテストの歴史。下に置いてあるのがコンテスト参加後、50年の 時を超えた作品群です。

中には崩壊間近のものもありますが、来場者のウケはとてもよく、まさにプラモの生き証人って感じです。

私の新作マトラはこちらに展示。

モーターが回ってますから通るお客様の多くが目を止めてくれました。

静岡には数え切れないほどの作品が並びます。その一つ一つが素晴らしい中で「動き」は強力な武器になると思いました。

また、このキットは知っていても、初版がモーターライズだった、あるいはシリーズ最初のホンダF-1から6番目のローラT70までがモーターライズだったってことを知らない人が多かったのにはちょっとびっくり。

「ギヤBOXは自作ですか?」

と聞かれることも何回かありました。まあ仕方ないよね、50年前の話なのだから。

 

動きのあるマトラは来場者さんがいくつか動画をアップしてくださっています。

その1:マトラが危険な走行をしています。19分20秒あたりから。撮影している人、全部のブースを撮影しているのかな。頭が下がります 。

その2:吉本プラモデル部チャンネルでマトラが走っているところが映っています。23分10秒あたりから。

その3:サスペンションの動きは120secさんのサイトで 、動画を見られます

 

二日目には三台のマトラが揃い踏み。

左から「ヒロシ」さん、私、そして「OTAC 首領」さんの作品です。

50年前のキットが新作で三台も並ぶなんて奇跡です。

こちらは「ヒロシ」さん。

私が手をつけなかった補機類のパイピングもしっかり追加再現。

メーターの配線も私より手が込んでいますね。
リベットは600本ほど埋め込んであります。すごい。

「ヒロシ」さんも私も工作進捗状況はリアルタイムで公開していまして、彼の方が遅れ気味だったので、もしかしたら間に合わないかと心配していました。

でも最後は怒涛の追い上げで見事完成。そのエネルギーには驚きました。

ただし、ドライバーフィギュアは流石に時間切れだった。

こちらは「OTAC 首領」さん。

作った人しかわからない「鬼門」部分もしっかりクリアしていて、素晴らしい仕上がりです。

「ミーヤン」さんの「幻のABARTH OT 360」。

富士重工がスバルR2のハイパワーマシン開発をアバルトに委託したらっていう妄想全開で作った架空車。

これを読んでると、本当にそんなことがあったのかなと騙されてしまいそうです。
50年近く前のコンテストには「こんな車があったらいいな」と思って作った空想カー、カスタムカーの応募が多数ありました。

その精神を失わないまま大人になったのが我々です。

 

こちらは正式メンバーでは唯一の若手「N島」君の作品群。

コンテスト当時はもちろん生まれていませんが、縁あって最初からの仲間です。

おじさん達の制作ペースがなかなか上がらない中、彼の存在はとてもありがたい。

写真では赤が上手に出ていませんが、これなどは本当に綺麗な仕上がり。
また、私たちが1/12好きだということを忖度してミニも作ってくれました。

「大きくて大変だった」

とおっしゃってますけど、ミニは1/12の中では小さい方・・・。

賛助メンバーの「ploverbell」さんの280Z。1/12です。

少々壊れていたのを修復して持ってきてくれました。

この作品を見るのは何度目かですが、最初に見た時のショックは忘れません。

ちなみに今回色々話が広がって、某模型メーカー(笑)のPR誌に登場の運びとなりました。

「世田谷模型車庫」さんの「ローラ T70 Mk2 Spyder」。

ローラT70と言えばタミヤのMk3(屋根のあるクーペボディー)が真っ先に脳裏をよぎると思いますが、実際に活躍したのはこちらの方です。 Can-Amシリーズの最初の年(1966年)でチャンピオンになったのはジョン・サーティースが乗るこの車だったし。

タミヤのキットをベースにボディーを自作。

できてみると、なぜこっちをキット化しなかったんだと思うほどかっこいいです。

 

中もすごいです。

シフトレバーは前後左右に動き・・・、

自作のユニバーサルジョイントを介してロッドが動くようになってます。

またアクセルペダルを踏むとエンジンのスロットリンケージが動くようにもなっています。

またボディーを複製してキットのものと取り換え、箱まで作って、あたかもこんなキットが売られていたように仕立ててあります。

タミヤの人にも大うけだったとか。

本物の箱はこうでしたね。
また「I」さんはMk3のボディー(赤い方)を改造してMk3Bを制作中。ヘッドライトが4灯になっているところなどが異なっています。

ちなみにこれは走行可能。ハイパーダッシュモーターを使っているので、私のマトラより速かったです(競争したら負けた)。

 

 会場で見た、素晴らしい作品

「かっぱコージ」さんの「アルピーヌ・ルノー A110」。

基本タミヤですが、フェンダーはエレールのものを移植した作品。

「え?そこだけしか使ってないんですか?」

と思わず聞いてしまいました。このフェンダーがとてもかっこよかったんですって。

(他にホイールもエレール)

そしてチョコっと下回りをいじるとパワートレインが取り外せます。

リアエンジンだってことを見せたいんですって。

こちらも「湘南」さんにあった「小田島」さんの作品。

西部警察のオープニング、運河を超えてクラッシュしたZを制作。

クラッシュして変形したボディーをどう作るか、すぐ思いつく方法としては「ボディーを火であぶる」「パテで造形する」などがあると思いますが、この作品は何と洋白板でボディー後半を作ってから曲げる方法でやってるんです。

「重ねたところやはんだ付けしたところで曲がり方が変わり、とても大変だった」

とおっしゃってました。

「スケールワークス」さんのブースに行くと、いつも身が引き締まります。

私なぞはどうしてもウケを狙って変な方向に走ったりしがちですが、ここの作品はどれも真正面から作品に向き合っているからです。

 

さてこちらは「Y本」さんの「ブガッティビジョングランツツーリスモ」。

カーボン表現は普通のカーボン調デカールではなく塗装仕上げ。

「モデルファクトリーヒロ」から出ているメッシュ状デカールを貼ってからシルバーを塗装し、その後デカールを剥がすという手順です。

どちらの方法にも一長一短があると思いますが、今度トライしてみたい技法です。

「Blog Modelers」のブースに展示されている「ヒロシ」さんのマトラ。

何度も言うけど、コラボは本当に楽しかったです。

ご存知、新潟の「えり庵」さんの作品。リアルな展示台はほぼプラ板細工ですが、様々な加工・塗装技術を駆使して流石の仕上がり。
また車の方はカワサキ・GPZ900R(いわゆるninjaですね?)のエンジンを移植したって設定。
だからタンクもバイクのパーツを使っています。
「Blog Modelers」ではこれも刺さりました。

作者は「kunny」さんで、タイトルは「ホンダN3と板金屋の一人娘」。

1/18スケールで、キットはタミヤ。

ちなみに奥にある全国労働衛生週間のポスターは2013年度のものですね。

「ホビーライフ」は「mutti」さんの「AMG-GT3」。

彼は悔しくなるほど上手です。

で、作品ですが、えーーっと、どう書いたらいいんだろう。
上手く表現できないんですけど、信じる道をこれからもブレずに進んでください・・・としか言えない。
「PROJECT F」の「模型転倒虫」さんの「ランチア ストラトスHF」。

写真には写っていませんが、彼の作品は例えばフォグや車幅灯などの小さなクリアパーツの仕上げがとてもきれいで立体的で本物っぽいんですよ。

工作過程を見ていても、そこへの手のかけ方が半端ない。

もちろん全体の仕上げも素晴らしいですが、自分なりにゆずれないところを持っているのは「強い」と思います。

「(単身赴任)模型堂」さんの「おっとっと」シリーズ。

グンゼから1979〜1983年頃まで発売されていたシリーズ(このスケールのものは全部で22作)で、値段も手ごろで作り易かったこともあって、子供達によく売れたキットです。

こちらは「サーフィンビートル」。美しいメタリックですねえ。

「ギャンブリッコ・イン・シティ」。

どう見ても「ターボ2」ですが、どうも実車のターボ2より先にキットが発売されているようです。つまりこれはシティターボ・オバフェン仕様。

室内も色々手が込んでいて、キットも喜んでいるでしょう。

私の二台とコラボさせていただきました。
「N村」さんの「AMG GT3」。

ブースには作者が異なる多くのAMGが並んでいましたが(偶然だったそうです)、ボディーの艶の表現にそれぞれ個性が出ていて面白いなと感じました。

この作品はボディー全体が半艶消し、赤い部分が艶ありになっています。

これが良いアクセントになって、全体が「眠く」なっていない・・・と私は思いましたが、皆さんはどう思われます?

 

「模型多国籍軍」さんの所にあった「ロータスヨーロッパ」。
何と!地面がムービングベルトになっていて、これが動くとタイヤが回転するんです。

(車は台の方に固定されている)

中身はこう。見事です。

このアイディア、近いうちにパクらせてもらうかもしれません。

「43モデラーズクラブ ルマンの会 」では、タミヤの1/12ビッグスケールシリーズのラインナップを箱絵とともに1/43で制作。

このマトラは第3戦のオランダGPで2位に入った時のもの。

コックピット前半が盛り上がっていますが、これが正しいんです。

そしてポルシェ910。
さらにはポルシェ935。

どれも素晴らしい。

 

中国の「Tang」さんのアストンマーチンもありました。
彼とはずいぶん前、メールで制作に関してやり取りしたことがあり、会場では彼の方から声をかけてくれました。
また、豪華な解説本もいただいてしまいました。

この人・・・、普通じゃないぞ。

こちらはしばらく前にネットニュースで話題になっていた作品。

まるで絵を見ているようです。

「模型多国籍軍」の「M.K」さんは究極のヤマトを制作中。
とんでもないディテールアップを行っています。
来年は完成品が見られるかもしれませんね。
ご存知「この世界の片隅に」の「浦野すず」さん(まだ北条ではない)。

見ているだけでほっこりします。

これを見て思わず「おおっ」となってしまいました。

「サイレント・ランニング」という古い映画に出てくる作業用小型ロボット「デューイ」です。

映画の最後、「デューイ」は無人となった宇宙空間の温室ドームで植物に水をやり続けます。だからじょうろが置いてある。

何かラピュタの園庭ロボットみたいで物悲しいお話なんですよね。大好きな映画です。

 

 まとめと考察など

で、今回の展示会の総括ですけど、頭がもやもやして上手く整理できない。

じゃあ去年は何を感じていたのかと一年前のレポートを見返してみたら、「たくさん人が来るのはお目出たいことだけど、どうも作る人と見る人とが分かれつつあるんじゃないか」みたいなことを書いている。その印象は今年も変わりませんでした。

私が持って行ったマトラはモーターでタイヤが回ったり走ったりしますので、子供連れの親子や、明らかに模型をやっていなさそうな女性なども足を止めてくれることがあって嬉しかったんですが、マトラの写真や動画を撮っている人達(おそらく模型好き)と話してみると、普段自分も作っているという人よりも、積んではいるけどなかなか手を付けられずにいると答える人が多かった。

そんな人たちは展示会に来て多くの作品を見てどう感じたんでしょう。家に戻ってから「ああ、俺には無理だ」と思うのか「よし、久しぶりに工作を再開するぞ」と思うのか。

もちろん私の願いは後者ですが、メーカーはもちろんのこと、他の出品者の多くもそう思っていると信じたい。ただ、あそこに並んでいる数多くの素晴らしい作品を見れば見るほど無理感が増幅された人もいたでしょうね。

じゃあどうすればいいかと聞かれても、上手い答えが見つからないのがもやもやの原因かもしれません。

その答えを探しながら、また一年模型を作り続けて行くんだろうと思います。