第30回 モデラーズクラブ合同作品展報告 |
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「伝説」の方の設営が結構面倒なので、金曜の夜に会場入りしましたが、すでに「リバティーウォーク、アヴェンタドール Limited Edition」が展示されていました。 |
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これはいわゆる「戦車」ではないですが、火力は105mmライフル砲と一人前ですし、道路などを自力走行して現場に向かうことができるなど、運用面を意識した戦闘車輛です。 ホビーショーの看板をバックに、いい写真が撮れた。 |
今年はGARAGE24と伝説のブースが遠く、往復するのも一苦労です。 スケールモデルの衰退が話題になることも多い中、来場者だけがどんどん増えているのは何故なんだろう。 作る人と見る人が分かれてしまったのかなあ・・なんて思ってしまいます。 |
車談呆人 カー模deリング GARAGE24 |
GARAGE24のメンバーとして静岡に参加開始して14年目。 メンバーも15人に増え、テーブルの上は作品でぎっしりです。 GARAGE24は私の本籍地ですが、7年前からは「伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟」のメンバーも兼ねています。 今年は「動くマトラ」に貼り付きになっていてこちらにはほとんどいなかったので、メンバーの作品全部は撮りきれていません、残念。 |
今年のお題は「GT&フィギュア」。 車を作るのには慣れているメンバーですが、フィギュアを揃えるとなると苦労した人もいたみたい。 でもみんな必死にお題に喰いついていました。 |
このキットは会場でもあちこちで見かけましたが、「変態開閉モデラー」としてはドアを開けない選択はなかったでしょう。 おとねえさんフィギュアも車に合わせたきれいな仕上がり。 |
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私、痛車は嫌いじゃないし、ゴッドハンドは地元新潟の会社だし、この作品妙に好き。 |
となると、黒い服を着た女性は「女執事」って設定でしょうか。 |
かなり強引な設定。 なおパラソルは骨組みを洋白線で作っているそうです。だからこんなにリアルなんだな。 |
ドアを開けて、中にコンピュータも再現しています。すごい。 |
おねえさんがスマホじゃなくてガラケーを覗いているあたり、時代考証もばっちりですネ。 |
フィギュアは自作、3D切削ですって! |
同じく「マチウリ」さんの「ヴィヴィオ」。 以前のクローズドボディーに続き、Tトップの新作です。 あ、もちろんキットではありません。自作・・・ってさらっと書いているけど、ありえんぞこれは。 |
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みんながちゃんとした車で参戦した中、ちょっと恥ずかしかった。 |
「n-hirobe」さんの「デルタウイング」。工作過程を見ていると、あちこちすごく大変だったことがわかるんですが、出来てみるとすごく自然な仕上がり。 それってすごいことですよね。 |
全面デカールを隙間なく仕上げるってすごい! |
私はラリーカーのプラモには詳しくないんですが、どうやらこの完成品がここにあること自体がすごいことらしい。 |
この四月に無事志望の大学に入り、楽しく学生生活を送っているとのこと。 この「GT-R」は実車の塗料を使用。毎回何かしらのチャレンジの成果を見せてくれます。 |
彼の作るスクラッチ作品は(確か)全てマツダ。その彼が一番愛している車がこのランティスです。 ネコワークス製のキットをベースに色々やっていますが、最後はどうなるんでしょうねえ。
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伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟 |
今年はメンバーの何人かが「先日手術したばかり」「入院して退院したが大事を取る」などで不参加という情けなさ。一時はどうなるかと思いましたが、若手の活躍や協力者様のおかげで何とかこなすことができました。 |
中には崩壊間近のものもありますが、来場者のウケはとてもよく、まさにプラモの生き証人って感じです。 |
モーターが回ってますから通るお客様の多くが目を止めてくれました。 静岡には数え切れないほどの作品が並びます。その一つ一つが素晴らしい中で「動き」は強力な武器になると思いました。 また、このキットは知っていても、初版がモーターライズだった、あるいはシリーズ最初のホンダF-1から6番目のローラT70までがモーターライズだったってことを知らない人が多かったのにはちょっとびっくり。 「ギヤBOXは自作ですか?」 と聞かれることも何回かありました。まあ仕方ないよね、50年前の話なのだから。
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動きのあるマトラは来場者さんがいくつか動画をアップしてくださっています。 その1:マトラが危険な走行をしています。19分20秒あたりから。撮影している人、全部のブースを撮影しているのかな。頭が下がります
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左から「ヒロシ」さん、私、そして「OTAC 首領」さんの作品です。 50年前のキットが新作で三台も並ぶなんて奇跡です。 |
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私が手をつけなかった補機類のパイピングもしっかり追加再現。 |
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「ヒロシ」さんも私も工作進捗状況はリアルタイムで公開していまして、彼の方が遅れ気味だったので、もしかしたら間に合わないかと心配していました。 でも最後は怒涛の追い上げで見事完成。そのエネルギーには驚きました。 ただし、ドライバーフィギュアは流石に時間切れだった。 |
作った人しかわからない「鬼門」部分もしっかりクリアしていて、素晴らしい仕上がりです。 |
富士重工がスバルR2のハイパワーマシン開発をアバルトに委託したらっていう妄想全開で作った架空車。 |
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その精神を失わないまま大人になったのが我々です。
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コンテスト当時はもちろん生まれていませんが、縁あって最初からの仲間です。 おじさん達の制作ペースがなかなか上がらない中、彼の存在はとてもありがたい。 |
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「大きくて大変だった」 とおっしゃってますけど、ミニは1/12の中では小さい方・・・。 |
少々壊れていたのを修復して持ってきてくれました。 |
ちなみに今回色々話が広がって、某模型メーカー(笑)のPR誌に登場の運びとなりました。 |
ローラT70と言えばタミヤのMk3(屋根のあるクーペボディー)が真っ先に脳裏をよぎると思いますが、実際に活躍したのはこちらの方です。 Can-Amシリーズの最初の年(1966年)でチャンピオンになったのはジョン・サーティースが乗るこの車だったし。 タミヤのキットをベースにボディーを自作。 できてみると、なぜこっちをキット化しなかったんだと思うほどかっこいいです。
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シフトレバーは前後左右に動き・・・、 |
またアクセルペダルを踏むとエンジンのスロットリンケージが動くようにもなっています。 |
タミヤの人にも大うけだったとか。 |
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ちなみにこれは走行可能。ハイパーダッシュモーターを使っているので、私のマトラより速かったです(競争したら負けた)。 |
会場で見た、素晴らしい作品 |
基本タミヤですが、フェンダーはエレールのものを移植した作品。 「え?そこだけしか使ってないんですか?」 と思わず聞いてしまいました。このフェンダーがとてもかっこよかったんですって。 (他にホイールもエレール) |
リアエンジンだってことを見せたいんですって。 |
西部警察のオープニング、運河を超えてクラッシュしたZを制作。 |
「重ねたところやはんだ付けしたところで曲がり方が変わり、とても大変だった」 とおっしゃってました。 |
私なぞはどうしてもウケを狙って変な方向に走ったりしがちですが、ここの作品はどれも真正面から作品に向き合っているからです。
さてこちらは「Y本」さんの「ブガッティビジョングランツツーリスモ」。 |
「モデルファクトリーヒロ」から出ているメッシュ状デカールを貼ってからシルバーを塗装し、その後デカールを剥がすという手順です。 どちらの方法にも一長一短があると思いますが、今度トライしてみたい技法です。 |
何度も言うけど、コラボは本当に楽しかったです。 |
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作者は「kunny」さんで、タイトルは「ホンダN3と板金屋の一人娘」。 1/18スケールで、キットはタミヤ。 ちなみに奥にある全国労働衛生週間のポスターは2013年度のものですね。 |
彼は悔しくなるほど上手です。 |
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写真には写っていませんが、彼の作品は例えばフォグや車幅灯などの小さなクリアパーツの仕上げがとてもきれいで立体的で本物っぽいんですよ。 工作過程を見ていても、そこへの手のかけ方が半端ない。 もちろん全体の仕上げも素晴らしいですが、自分なりにゆずれないところを持っているのは「強い」と思います。 |
グンゼから1979〜1983年頃まで発売されていたシリーズ(このスケールのものは全部で22作)で、値段も手ごろで作り易かったこともあって、子供達によく売れたキットです。 こちらは「サーフィンビートル」。美しいメタリックですねえ。 |
どう見ても「ターボ2」ですが、どうも実車のターボ2より先にキットが発売されているようです。つまりこれはシティターボ・オバフェン仕様。 室内も色々手が込んでいて、キットも喜んでいるでしょう。 |
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ブースには作者が異なる多くのAMGが並んでいましたが(偶然だったそうです)、ボディーの艶の表現にそれぞれ個性が出ていて面白いなと感じました。 この作品はボディー全体が半艶消し、赤い部分が艶ありになっています。 これが良いアクセントになって、全体が「眠く」なっていない・・・と私は思いましたが、皆さんはどう思われます?
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(車は台の方に固定されている) |
このアイディア、近いうちにパクらせてもらうかもしれません。 |
このマトラは第3戦のオランダGPで2位に入った時のもの。 コックピット前半が盛り上がっていますが、これが正しいんです。 |
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どれも素晴らしい。
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この人・・・、普通じゃないぞ。 |
まるで絵を見ているようです。 |
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見ているだけでほっこりします。 |
これを見て思わず「おおっ」となってしまいました。 「サイレント・ランニング」という古い映画に出てくる作業用小型ロボット「デューイ」です。 映画の最後、「デューイ」は無人となった宇宙空間の温室ドームで植物に水をやり続けます。だからじょうろが置いてある。 何かラピュタの園庭ロボットみたいで物悲しいお話なんですよね。大好きな映画です。 |
まとめと考察など |
で、今回の展示会の総括ですけど、頭がもやもやして上手く整理できない。 じゃあ去年は何を感じていたのかと一年前のレポートを見返してみたら、「たくさん人が来るのはお目出たいことだけど、どうも作る人と見る人とが分かれつつあるんじゃないか」みたいなことを書いている。その印象は今年も変わりませんでした。 私が持って行ったマトラはモーターでタイヤが回ったり走ったりしますので、子供連れの親子や、明らかに模型をやっていなさそうな女性なども足を止めてくれることがあって嬉しかったんですが、マトラの写真や動画を撮っている人達(おそらく模型好き)と話してみると、普段自分も作っているという人よりも、積んではいるけどなかなか手を付けられずにいると答える人が多かった。 そんな人たちは展示会に来て多くの作品を見てどう感じたんでしょう。家に戻ってから「ああ、俺には無理だ」と思うのか「よし、久しぶりに工作を再開するぞ」と思うのか。 もちろん私の願いは後者ですが、メーカーはもちろんのこと、他の出品者の多くもそう思っていると信じたい。ただ、あそこに並んでいる数多くの素晴らしい作品を見れば見るほど無理感が増幅された人もいたでしょうね。 じゃあどうすればいいかと聞かれても、上手い答えが見つからないのがもやもやの原因かもしれません。 その答えを探しながら、また一年模型を作り続けて行くんだろうと思います。
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