第29回 モデラーズクラブ合同作品展報告

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2018年5月12、13日(土、日)、ツインメッセ静岡にて開かれた第28回モデラーズクラブ合同作品展に、「車談呆人 カー模deリング GARAGE24」、及び「伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟」のメンバーとして作品を展示しました。

 
車談呆人 カー模deリング GARAGE24

GARAGE24のメンバーとして静岡に参加開始して12年目。

最近はメンバーも増えテーブルの上はぎっしりです。

今年のお題は「Old & New」。

要するに一つの車種の旧モデル・新モデルを作る・・・そういうイメージです。

GARAGE24は私の本籍地ですが、6年前からは「伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟」のメンバーも兼ねているのでこちらにいる時間が少なく、メンバー全員の作品写真をおさえていなかったのが悔やまれます。

フォードウッディー(1940)はmonさんの作品。

右の写真は事前に見せていただいたものですが・・・、

これを見れば誰だって、

「おお、二台作ったのか」

と思うじゃないですか。

でも正解はこう。

二つ上の写真(赤い方)は画像を反転していたんですね。だまされた。

でも二台作った方が簡単だったとのことです。

さかもっちゃんのエッシーのゴルフGTIラリー。

最初はドアを閉じた状態で見せられたんですが、

「何だ、ドア開かないのか」

と思ってしまうくらいピッタリできていました。とても真似できません。

またスパイクタイヤにすべく、ピンを一本一本埋め込んでいるんです。恐ろしや。

去年、ハードトップの電動収納メカ(右)で来場者の度肝を抜いたkatsuさん 。

今年はソフトトップ開閉のロードスターでまたまたやってくれました。

こうなっている状態が・・・、

内臓電池とモーター・リンク機構でこうなります。

日本広しと言えど、こんなことができる人はまずいないだろうなあ。

また、来場者が遊べるように気配りされたスイッチもkatsuさんらしい心配りです。

 

ちなみにこの車に乗っているのはkatsuさん本人。来年静岡に行かれる方でkatsuさんとお話ししたい方、本物もこんな感じなのですぐ探せます。

 

 

おぺさんのヤリスWRC。今最も旬な車ですが、まだどこからもキットは出ていません。

その秘密はプリント出力。でも全体の仕上がりは普通のプラモと思えるほど美しいものでした。

また隣の旧セリカと比べて室内の広さが全く違うのが面白いです。

確かに昔の車は皆狭かったと思い出します。

kwnさんのランボルギーニ・アヴェンタドール アニバサリオと・・・、

ランボルギーニ・ミウラ P400SV。

あちこち手が入っていますが、いつも思うのは仕上げの美しさ。

特に塗装については「しゃきっとしていてしかもピカピカ」という難しいバランスを見事に保っているのが素晴らしいです。

わーくすさんのNSX。見どころは自作したダズル模様(幻惑迷彩)のステッカー。

どう見ても面倒くさそうですが、宮崎駿さんも言ってますよね。

「大事なことはたいてい面倒くさい」

って。

有楽町@M2Fさんは海外キットでお題に挑戦。

右の方は中国のmeng-modelですが、精密で出来が良いとのこと。

昔ほど新製品を出してくれない、出しても旧車が多い日本メーカーばかり見ていないで、もっと海外に目を向けると面白いキットがたくさんありそうです。

(meng-modelの日本語サイト、文章が機械翻訳タッチで結構面白いです)

マチウリさんはご自分でデータを作り、それを3Dモデリングマシンで削り出すという手法で、販売されていない車種を自分で作ってしまう人。

このアルシオーネはプラモですが、一部そのようにして作ったパーツを組み込んでいます。

私には未知の世界ですが、未来の模型趣味はこういった手法が広まるのかもしれません。

トヨフリさんの新旧プリウス。

右はご存知フジミ製(エラーを極力修正)、左はインターアライド製のレジンキットです。

トヨフリさんの腕もあるのでしょうが、インジェクションキットと比べて遜色ない仕上がりを見ると、やや値段は高くなってもこういうキットがどんどん出てくると嬉しいなと思います。

手前がSHUN1/24さんの作品、後方は私の二台のシティ。

今回は1/12キットに手を焼いたためか、1/24の方はお題をこなすのが精一杯でした。

SHUN1/24さんの方は力が入っていますよ。

実車がお好きなこともあるのでしょうが、本当に魅力的に仕上げているなあと感じます。

 
 伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟

私の参加しているもう一つのサークルです。

メンバーは40年以上前(1971〜1975年)に開かれたコンテストの参加者が中心。

当然ながら平均年齢は60歳前後。

今年はメンバーの3人が所用等で参加できなかったのが残念でしたが、その分他のみんなでカバーしました。

左は私、右はNさんの入賞作品。

そしてこれが、当時の雑誌。

私が16歳で、Nさんが13歳(笑。

マトラF5000は架空のマシンですが、これを作るにはマトラ本体だけでなく、ローラT70のエンジン、そしてカレラ10のデカールが必要となります。

どれだけ小遣いもらっていたんだろう・・・。

そのNさんですが、長く模型作りからは離れていたものの、今年はこれを持ってきてくれました。

昔、途中まで作っていて、今回完成に持って行ったとのこと。

これを機に今後も積極的に作っていくそうです。

また一人”救う”ことができた。

Yさんはたくさん持ってきてくれました。これもその一つ。

こうやって見ると、昔のF-1ってぶつかった時のドライバーの安全を今ほど考えていなかったんだなあと思います。

世田谷模型車庫さんが45年くらい前(つまり20歳前後)に作った作品。

コンテスト参加を目指したものの、間に合わなかったとのこと。

ボディーはハンブロール筆塗りですって! 言われるまで気づかなかった。

新エンジンをテストしている設定ってことで、キットとは全然違うインカムエンジンを自作して搭載しています。

なお、右のワイパーブレードが一見不自然に曲がっているのは、オリジナルだとAピラー付近のガラスに拭き残しが出るからだそうで、当時のラリードライバーはそうしていたんですって。

もしコンテストに応募していたら入賞間違いなしだったでしょうね。

こちらも世田谷模型車庫さんがフルスクラッチで作ったチャパラル2A後期型。

世田谷模型車庫さんはジム・ホール氏にもお会いしたことがあるのですが、この2Aは二台作って一台をご本人に差し上げたそうです。

写真はジム・ホール氏からのお礼状。

内容はおおむねこんな感じです。

「箱を開けて美しい模型を見てすごく驚きました。
 これほど正確な模型を私のために作るにはどんなに大変な作業をしたのでしょう。信じられません。
 この素晴らしい模型を作るために使われた時間・才能・専心に感謝します」

メンバーの唯一の若手、N島君のアストンマーチンDBS。

この美しい塗装について質問してくる人がいました。

Iさんのロータス30。1/12です。

1/24ならタミヤの昔のスロットカーにありましたね。

まず 型を作ってプラ板をバキュームプレスする手法で作っています。今年は半完成の状況でしたが、エンジンなども組み込んで最後まで持って行ってほしいなあ。

コグレ・バンダイ改造の滝レーシングエラン。

N上さんの作品です。この世界観はN上さんにしか出せないですね。

こちらもN上さんの作品ですが・・・、

今年はミーヤンさんがユニオンジャックのカラーリングでロータスを作ってきました。

これが元ネタです。

アイスクリームが溶けてます。

ploverbellさんの作品。

以前も見せていただいたことがありますが、ここまでやるのか・・・と唖然とした記憶があります。

昔の愛車だそうで、1/12もお作りになっていますが現在は修理中とのこと。

来年は持ってきてくれるそうですよ。

こちらは前期モデル。やはり昔の愛車だそうです。

完成したらこれまたとんでもない作品になりそうです。

私はGT-Rとフェラーリ275GTBを持ち込みました。

お陰様でどちらも多くの人に見ていただけました。

275の方は

「全然似ていないけどかっこいい」

「完成品を初めて見た」

などの感想が多かったです。

 
 
 会場で見た、素晴らしい作品

数え切れないほどの作品が並ぶ静岡の展示会。どれも素晴らしいのは当たり前なので、その中で目を引くには「大きさ」も一つのファクターです。

このコルベットも、思わず足を止めて見入ってしまいます。

ホイールはどうどうやったんだろう。聞けばよかった。

こちらはデカールを自作。何とインクジェットプリンタだそうで、インクが滲まないよう、 苦労しながら貼ったそうです。

 

スケールワークスさんはメンバー全員が模型作りの王道を 進んでいるところがいいですねえ。

私なんかついウケを狙ってキワモノに走ってしまいますが、ここに寄るとそんな気持ちがリセットされます。

F1モデリングのお手本のような作品。

ここまでしっかりと仕上げられたら・・・といつも思います。

ハセガワの2002は多くの人が作っていましたが、こちらは74年のアルピナに改造したもの。

フェンダーなど外観にも手を入れ、素晴らしい作品に仕上がっています。

高松ニッパーズはシャーマンをサークルのお題にしました。

前列は「ネタ」作品。

サブマリン707は子供の頃好きだったマンガ。

こちらはポプテピピックから。

二つ一緒に見ることで二倍楽しめます。

 

PROJECT Fから模型転倒虫さんとそのお仲間の単身赴任模型堂さんの作品。

ケンメリとZです。

私も「走り屋」「改造車」「街道レーサー」 方面が嫌いじゃないので、GARAGE24のお題の候補にも考えていたんですが、その世界観に詳しくないのがネックになって手を出せないまま。

模型転倒虫さんも同様らしく、静岡に参加している改造車サークルの方から「文法」を聞いたりして完成させたそうです。

どちらもバッチリ仕上がっていて、目を引く作品です。

私も昔作ったことのあるCB750。

チェーンを一個一個組み立てて、後輪がシャラシャラ言いながら回るのが楽しかった。

 

こちらのキットはその機構が省略された後期バージョン ベースだったので、チェーンもスプロケットも自分で仕立てたそうです。

 

ブログモデラーズから。

新潟の模型仲間えりあんさん。

独特の世界観は彼ならではのもの。

限られたスペースをどう活用するかがジオラマの難しさだと思いますが、いつもそこが素晴らしいと思います。

これもえりあんさん。多砲塔戦車って実物はほぼ全部が失敗したと思うんですが、やりたい気持ちはわかります。

何か凄そうですから。

 

ヒロシさんの作品。

アクセルリンケージも作ってます。

エンジン全体のトーンもしっとりまとまっていて一つ一つの色の選び方にセンスを感じます。

 

サンニイ情景友の会からKさんの作品。

真ん中の建物はいわゆる「看板建築」という、店舗と住居が兼用されているものですね。

私の住んでいる町の商店街でも見かけますが、一つ二つとなくなっていってます。

店舗は商品も作っていかなくてはならないので大変です。

お酒の中に「久保田」がありますね。久保田は新潟の朝日酒造の商品で、1985年に誕生しています。

このジオラマはそのあたりの年代をイメージしているのかな・・・。

 

こちらはmuttiさんのAMG-GT3。

最初はネタかなと思ったら、実際にレースに出た車だそうです。

めちゃくちゃ上手なので、一瞬笑った後、思わず真顔になってしまいます。

 

こちらはかっぱコーヂさん。

静岡には素晴らしい作品が数多く並びますが、「上手い人は誰ですか」と聞かれて・・・悩むものの・・・紹介する人の中に必ず入れるのが彼です。

おそらくですが、ご自分の中での合格基準がものすごく高いんだろうなと・・・。

 

新潟の工具メーカー、ゴッドハンドのブースでは、掛川を拠点とする「マー ブル・メイプル」のメンバーがニパ子のコスプレでお出迎え。

写真公開大歓迎ってことなので、このように・・・。

 

 

ルマンの会で見た1/43の作品。

1/43という小さなサイズで作り込むなんて技、私には想定できないんですが、金属を上手く活用すれば何とかなるのかなあ。

こうやって見ていると、これが手の平サイズだって思えませんよね。

 

全て木から削り出した作品。

ボディーなどに継ぎ目が見当たらないので、大きなブロックから削っているのでしょうか。

こういうエンスーな車種はもとより・・・、

比較的最近の(とは言っても20年以上前ですが)車種をチョイスすると驚きも増します。

と言うわけでざっくりと目に入った作品を紹介させていただきました。

 
 
 まとめと考察など
 

静岡ホビーショーは日本で(あるいは世界で)も最大級の模型イベント。今年も会場の賑わいは大したものでした。
※来場者数は8万人前後。ここ10年くらいは大きな増減はないようです。

でも私の場合、隣近所を見渡してもプラモを作っている人を探すことすら困難なのが現実。8万人の中には相当数「昔やっていたけど、今はやっていない」人もいるでしょうから、私なんぞは
「見に来る暇とお金があったら頼むから一個でも作ってくれ」
と思うこともあるんですが、そういう自分自身もジャンルが変わると偉そうなことは言えません。
 

例えば今月はこんなところに行きました。

クラシックを聴きたければ「再生音源」はいくらでも身近にあります。でも生演奏は別物。素晴らしい時間を過すことができました。
絵画の方も、好みは別にしてもやはり本物はいいなあと思います。

音楽は昔「演奏する側」でしたし、絵画は(皆さんもそうであるように)学校の授業でたくさん「お絵かき」しました。

じゃあ何で今やらずにコンサートや展覧会に行くのか・・・、それは自分が生み出すものとその道のトップクラスが生み出すものとに圧倒的な差を感じているからです。そしてその差は逆立ちしても埋められません。

現在模型を作っていない人がホビーショーに出かける理由の一つにそれがあるかもしれません。

ただ、模型の場合は中年になってから始めても努力すれば数年で素晴らしい水準に持ってゆけると信じています し、発想力や表現力は経験値とは別のものですから、初心者であっても楽しい作品作りができるでしょう。

展示作品の中には誰にも真似できない作品(右のピンクのゾーン)も多いですが、これならもしかしたら俺にも行けそうだと思うものを見るのもいい。

展示会に来た人たちが刺激を受けてプラモ作りを開始・または再開してくれたらいいなあと思っています。

ちなみに私の場合ですが、一つの作品に何百時間もかける余裕はないし、スキルも経験で手に入れたものしか持っていない。
その中で来場者の足を止めるには・・と考えると、最近は大きさで目を引こうとしています。1/12は設計が古いものが多いので、手の入れ甲斐もありますし。

特に今年は、ほとんどの人が箱を開けたとたんに
「インオペ(手術不能)。このまま閉じるよ!」
とつぶやく難物キットに挑戦し、
「私、失敗しないので」
と言えたので良かった。

(ネットで必死に作例を探したけれど、世界中見渡しても数人しか完成品を晒していない。そんなすごい「症例」でした)
 

さて、来年に向けて1年をどう使っていきましょうか。すでに予定 が二つほどあります。

 

一つはタミヤのマトラ。今まで作ったことがなくて「いつかは」と思っていたんですが、伝説メンバーのFさんからジャンクのギヤボックスとセットで!いただいてしまいました。

来年の展示会ではこれを走らせて遊びます。

50年来の夢が叶います。

またFさんからはスバルのEJ20エンジンのホワイトメタルキットもいただいちゃいました。

組むとこんな感じになります。

スバル乗りとしては超嬉しい。来年までにとは約束できませんが、なるべく早めに手掛けたい。

さらにある方からはキットストックを大量に頂いちゃいました・・・。

来年のGARAGE24のお題にも使えそうなキットがありますのでいくつかは横取りしますが、多くは何らかの手段で作りたい人に再配布するつもりです。

 

何だかんだと言って忙しい1年になりそうです。